Research Abstract |
コンクリート構造の巨視的な応答と構成材料の微視的な損傷(ひび割れ含)の両者を,数万~数百万回に及ぶ繰り返し荷重履歴に対して推定するシミュレーションシステムを構築することが,本研究の目的である,本年度は,(1)多方向非直交固定ひび割れモデルの高度化と,(2)水分-長期たわみ-疲労荷重を考慮した数値解析システムを構築,(3)セメント系材料の長期微量成分溶出のモデル化のための基礎研究を実施した (1)では,前年度までの検討に基づいて繊維補強コンクリートの繊維配向と多方向分散ひび割れと主応力軸の三者関係に着目し,新たに鋼繊維や骨材の混入量をパラメータとした系統的な実験とその解析により,せん断応力伝達機構を改善させた新材料の開発を実施した.次に(2)として,昨年度に引き続き,実橋梁上部構造の長期たわみの計測事例をさらに収集し,本システムによってシミュレーションを実施した.本解析システムはいずれも精度よく実測値を再現し,その信頼性が確認されるとともに,水分環境の影響,特に乾燥収縮特性が構造物の長期耐久性と長期の疲労荷重作用下での寿命推定に重要な役割を果たすことが明らかとなった.さらに,鋼コンクリート合成床版を対象とした疲労実験と解析を行い,本システムが複合構造物に対しても適用可能なことを示した また,セメント系材料の微小空隙構造と水分移動(乾燥収縮),構造物長期供用下における微量成分(カルシウム)溶脱に関する材料モデルを高度化するため,高炉セメントやポーラスモルタルを用いた材料実験を実施し,材料モデルの検証を行った
|