Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 輝 京都大学, 工学研究科, 助教 (00343236)
宇野 伸宏 京都大学, 経営管理研究部, 准教授 (80232883)
藤井 聡 京都大学, 工学研究科, 教授 (80252469)
山本 俊行 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (80273465)
奥嶋 政嗣 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (20345797)
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Research Abstract |
従来の需要予測は個々人の意思決定が独立に行われるという前提で,モデル化等の手法が確立されてきた.その中でも近年マイクロシミュレーションアプローチが注目されているが,本申請課題ではこのシミュレーションアプローチを,従来考慮されてこなかった個々人間の意思決定における相互作用を考慮した,マルチエージェント型の交通行動シミュレータへと拡張し,このシミュレータに被験者が参加する実験環境すなわち参加型シミュレーションを提案し,様々な交通施策が都市交通システム全体に与える影響を分析することを目的とする.本年度は,意思決定者間の相互作用の分析とモデル化,ならびに参加型実験基盤の開発を行った.後者の実験基盤に関しては,とくに経路選択行動に着目し,交通情報がドライバーの経路選択行動と交通状況に与える影響を,室内実験手法により分析可能とする実験基盤を構築した.交通情報施策に着目した理由は,他者の行動を予想する,といった相互作用の影響が意思決定に大きく影響を及ぼすと考えたからである.さらにその基盤を用いてプレ実験を行った.その際,「社会を望ましい状態に導くことを目的とするがドライバーの私益には合致していない情報」(本研究では以下,「公益情報」と呼称する)を取り扱い,ドライバー間の相互作用と交通システム全体の挙動の関係を分析した.その結果,従来実務や研究で扱われてこなかった「公益情報」の提供により,交通状況が社会的に望ましい状態に近づく可能性が示唆された.そして,公益情報の表現の違いにより,ドライバーの情報の参照の仕方に差異が生じる傾向が示された.さらに,同一の内容の情報を提供する場合でも,被験者属性によっては,情報を表示する際に文字を強調して提供しただけで,被験者の経路選択行動に差異が生じる可能性が示唆された.
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