Research Abstract |
セルロースナノ繊維としてバクテリアセルロースに加えて,グラインダー処理により得られたセルロースナノ繊維を取り上げて研究を進めている。まず,前年度までで確立した製造法を,グラインダー処理により解繊されたセルロースナノ繊維に適用することで全セルロースナノ複合材料の研究を推進し,構造・物性の詳細な検討を進めた。その結果,同複合材料が安価な廃棄物の再利用物から出発しているにも関わらず,耐熱性,力学物性に優れ,光透明性を併せ持つことを見出した。また,グラインダー処理により得られたセルロースナノ繊維とバクテリアセルロースの化学反応性の相違について,比表面積の観点から検討を加え,混合エステル化を経てナノ複合材料の創製を行った。また,バクテリアセルロースを用いた研究として,ナノダイヤモンド存在下でバクテリアセルロースのin situ培養に成功し,ナノダイヤモンド/ナノセルロース複合材料の創製を試みたところ複合化に成功し,優れた力学的補強性,低熱膨張,高寸法安定性を併せ持つ材料となることを見出した。さらに,バクテリアセルロースの高性能の発現理由について,強固な水素結合,高い結晶化度,高度なナノ繊維の絡み合いの視点から検討を加えた。これらはいずれも本基盤研究の主題とするところのセルロースナノ繊維を用いたエコ&ナノ複合材料の創製に係る重要な研究課題であり,これまでのところ着実に成果を挙げ,順調に3年次を推移することができた。平成23年度は最終年度にあたり,引き続き研究を発展させると共に,これら研究の総括を行う計画である。
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