2008 Fiscal Year Annual Research Report
ミクロおよびナノスケール表面設計・制御によるグリーンステンレス鋼の創製
Project/Area Number |
20246106
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
原 信義 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 教授 (40111257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武藤 泉 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (20400278)
赤尾 昇 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80222503)
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Keywords | ステンレス鋼 / 耐酸性 / 耐孔食性 / 硫化物介在物 / 微小部分電気化学計測 / キャピラリーセル / アノード分極曲線 |
Research Abstract |
本研究は, 21世紀型ステンレス鋼(グリーンステンレス鋼)の理想の姿の一つである「汎用ステンレス鋼の耐食性を極限まで高めること」を可能とする新しい不働態化処理法を開発することを目的としている。そのため, SUS304鋼などの汎用ステンレス鋼を新規不働態化処理によって表面改質し, スーパーステンレス鋼と同等の耐孔食性と耐酸性を付与する技術の開発を試みる。本年度はまず研究の第一段階として, 鋼表面からのMnSの除去に関連する電気化学検討を行い, 以下の成果を得た。 (1) マイクロキャピラリーセルを用いる微小部分電気化学計測システムの作製 : マイクロメータオーダーの大きさのMnS自体の電気化学特性を把握するためにまず, 先端径が数100μm程度のマイクロキャピラリーセルを自作し, 微小部分の電気化学測定が可能な装置を作製した。これを用いて顕微鏡に特定した介在物のみを選択的に電気化学計測できることを確認した。 (2) MnS介在物の電気化学的性質の解析 : 作製した微小部電気化学測定システムを用いてMnおよびCr系介在物の電気化学的性質を調べた。その結果, 介在物のアノード溶解挙動は組成に強く依存し, MnSは低い電位でアノード溶解するが, Mn酸化物は溶解しないこと, またCrSは非常に高い電位でのみ溶解することが明らかになり, 孔食の起点になるのはMnSのみであることが明らかになった。 (3) MnS介在物の除去に最適化された溶液作製と性能評価 : 上記の結果に基づいてMnSを除去するために最適の溶液を検討した結果, Mn錯体を形成しやすいイオン種を含む弱酸性溶液中に自然浸漬することでMnSを溶解させることが可能であると言う, 重要な知見が得られた。また, この溶液で処理ずると304鋼の孔食電位が上昇することを確認した。
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Research Products
(5 results)