2009 Fiscal Year Annual Research Report
ミクロおよびナノスケール表面設計・制御によるグリーンステンレス鋼の創製
Project/Area Number |
20246106
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
原 信義 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 教授 (40111257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武藤 泉 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (20400278)
赤尾 昇 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80222503)
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Keywords | ステンレス鋼 / 耐酸性 / 耐孔食性 / 硫化物介在物 / 微小部分電気化学計測 / キャピラリ-セル / アノード分極曲線 |
Research Abstract |
本研究は,21世紀型ステンレス鋼(グリーンステンレス鋼)の理想の姿の一つである「汎用ステンレス鋼の耐食性を極限まで高めること」を可能とする新しい不働態化処理法を開発することを目的としている。そのため,SUS304鋼などの汎用ステンレス鋼を新規不働態化処理によって表面改質し,スーパーステンレス鋼と同等の耐孔食性と耐酸性を付与する技術の開発を試みる。本年度は平成20年度の結果に基づいて,MnS介在物の溶解除去とCr酸化物の濃縮を同時に実現できる水溶液ベースの不働態化処理法を検討し,以下の成果を得た。 (1)処理溶液の考案と,処理条件の設定: ミクロスケールでのMnS介在物の溶解・除去が可能であり,かつナノスケールでのFe酸化物の選択溶解・除去によってCr酸化物濃縮が可能な溶液として各種キレート剤を含む複数の溶液組成を考案し,処理温度を80℃および処理時間2時間として,不働態化処理条件を設定した。 (2)MnS介在物の除去に最適化された溶液の検討と性能評価: (1)で考案した溶液と処理条件を用いてMnS溶解実験を行い,各溶液のMnS溶解能力を評価した結果,キレート剤の効果の大きさはクエン酸>EDTA>ヒドロキシルアミン>シュウ酸の順であることが判明した。 (3)還元溶解処理後の皮膜の組成と構造の解析:各溶液でMnS溶解処理した後の表面を角度分解XPSを用いて分析し,どの溶液が最もCr濃縮度が高くなるかを検討した結果,キレート剤の種類による差は少ないことが明らかになった。また,耐食性を調査した結果,クエン酸系の溶液で処理すると塩化物溶液中の耐孔食性が著しく向上することが分かった。
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