2009 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロリアクターに組み込んだ弾性表面波素子触媒による液相有機合成反応
Project/Area Number |
20246117
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
井上 泰宣 Nagaoka University of Technology, 工学部, 特任教授 (30016133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 洋 長岡技術科学大学, 工学部, 助教 (50303186)
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Keywords | マイクロリアクター / 弾性表面波 / 酸触媒 / 液相反応 / 有機合成応 / 格子変位 / 強誘電体 / 圧電効果 |
Research Abstract |
本研究は、液相系の有機合成反応に対する触媒の効率を顕著に高める方法を確立するため、固体触媒の表面格子を強制変位できる作用を持つデバイス型触媒をマイクロリアクターと組み合わせて、触媒活性化機能を持つ新規な反応システムを構築することを目的としており、昨年度は、弾性表面波素子を流通型マイクロリアクターに組み込み、弾性表面波による格子変位効果について検討した。本年度は、弾性表面波と同様に動的格子変位を引き起こすバルク波の共鳴振動の効果について調べた。表面に垂直な格子変位をもつz-カットおよび表面に平行な格子変位を生じるx-カットLiNbO_3強誘電体単結晶を用い、それらの結晶の片面にMo電極、またその裏面にAu電極を薄膜で取り付けて共鳴振動素子とした。共鳴振動用に設計製作したマイクロリアクター内で、ベンズアルデヒドとアセトフェノンからカルコンを生成する有機合成反応に対するスカンジウムトリフラート(Sc(OTf)_3)酸触媒の活性は、共鳴振動による表面に垂直な格子変位により8.2倍増加し、また、カルコン生成反応の活性化エネルギーは76%も減少した。昨年度に得られた弾性表面波効果と比較すると、共鳴振動がより高い活性化作用をもつことを見いだし、この違いは共鳴振動によって生じる格子変位が、弾性表面波の場合よりも大きいことに起因することを示した。共鳴振動が表面に平行な格子変位では、酸触媒の活性増加は1.8倍にとどまっており、触媒活性化が、表面に垂直な動的格子変位に起因する機構を明らかにした。以上の結果より、弾性表面波や共鳴振動に由来する表面に垂直な動的格子変位をもつデバイス型触媒をマイクロリアクターに組み込んだ反応システムが、液相触媒合成反応の活性化に非常に有用であることを結論した。
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Research Products
(4 results)