2010 Fiscal Year Annual Research Report
磁性細菌のバイオミネラリゼーション機構を利用した高機能ナノ粒子の創製
Project/Area Number |
20246119
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
松永 是 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 教授 (10134834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新垣 篤史 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 助教 (10367154)
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Keywords | バイオミネラリゼーション / バイオミメティクス / 結晶核形成 / 微小反応場 / 高保磁力磁性材料 / 結晶形態制御 / タンパク質 |
Research Abstract |
平成22年度は、高機能ナノ粒子の創製を目的として、細胞内でのタンパク質の機能解析およびタンパク質の発現制御による結晶形態制御、さらに磁性結晶合成における結晶特性の制御を行った。はじめに、相同性組換え法を用いて磁性細菌のマグネタイト結晶形成に関与する4つの遺伝子の欠損株を構築した。細胞内に合成される酸化鉄磁気微粒子について、透過型電子顕微鏡による形態観察を行った結果、野生株では切頂八面体の粒子が合成されるのに対し、mms6遺伝子欠損株では長形、mms7遺伝子欠損株ではダンベル状の粒子の合成が確認された。これらの株においては、特に結晶表面の構造が野生株とは大きく異なることがわかった。また、粒子の長径および短径を測定した結果、全ての遺伝子欠損株と野生株の間で粒径及びアスペクト比のプロファイルにおける明瞭な差異が認められ、これらのタンパク質はin vivoの実験系においても酸化鉄結晶の形態制御に関与していることが示された。加えて、欠損株における遺伝子のコンプリメンテーションを行った結果、結晶形態及びサイズの回復が確認され、同タンパク質の発現制御によって結晶形態の制御が可能であることが示された。さらに、磁性細菌の培地中に酸化テルルを添加した結果、磁性細菌の細胞内に酸化テルルが取り込まれ、酸化鉄結晶とテルリウム結晶がそれぞれ独立して形成されることが確認された,同様に、セレンについても磁性細菌の細胞内への蓄積が確認された。また、マンガン、コバルト、銅については、磁性細菌の酸化鉄結晶へのドーピングによる磁性結晶特性の変化が確認され、磁性結晶特性の制御が可能であることが考えられた。以上、磁性細菌のバイオミネラリゼーション機構を利用することで、磁性酸化鉄から成る新規マテリアル合成のための基盤技術を確立することができた。
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Research Products
(22 results)