2011 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化炭素処理とエネルギー資源再生を両立させる持続型炭素循環システムの最適化技術
Project/Area Number |
20246128
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 光三 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (60322038)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 昌敬 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (50190369)
川口 秀夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特任助教 (50463873)
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Keywords | 環境技術 / 二酸化炭素排出削減 / 資源開発工学 / 微生物 / 生物・生体工学 |
Research Abstract |
平成23年度は、電気化学的メタン生成反応の持続型炭素循環システムへの技術利用を全体構想に、電気化学的メタン生成反応の向上に寄与する基盤情報を得ることを目的とし、地下環境に広く分布している好熱性メタン菌の純粋培養系による電気化学的メタン生成反応の機構を解明した。 Methanothermobacter M.thermautotrophicus ΔH株を培養セル内で電圧を印可しながら培養し、好熱性メタン菌による電気化学的メタン生産反応を解析した。メタンの生産速度、電極上での菌体の増殖、電流の発生量は印可電圧の強度に対して依存性を示した。リニアスイープボルタンメトリー法によるカソード電極表面での電子消費挙動解析の結果、電子消費反応はメタン菌の存在には依存していなかった。さらに、無菌コントロールの培養セルでは、印可電圧の強度に依存した水素の発生が見られた。以上の結果から、M.thermautotrophicus ΔH株単菌による電気化学的メタン生産反応は、電極表面で非生物的に発生した水素をメタン菌が二酸化炭素還元に利用する間接的経路であることが示唆された。この知見に基づき、M.thermautotrophicus ΔH株単菌による電気化学的メタン生成反応の数値モデルを構築した。実験結果との比較から、カソード上における電流-水素変換効率の経時的低下が反応の律速段階であることが示された。混合培養系を用いた予備実験の結果、電気化学的活性を持った細菌(群)が電流変換効率を触媒する可能性が示されている。そこで来年度は、触媒活性を持つ微生物(群)の利用を中心として、電気化学的メタン生成反応の反応効率向上手法の確立を図る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究項目では、地中貯留した二酸化炭素をメタンへと変換し再資源化する「持続型炭素循環システム」構想の要素技術研究を行ってきたが、本年度より研究している電気化学的メタン生産の技術利用は、本技術構想にさらに再生可能エネルギーの変換と備蓄という新側面を付与し、当初の計画以上の発展性を示している。
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Strategy for Future Research Activity |
電気化学的メタン生産反応の産業利用へ向けた技術確立を、微生物的反応の理解深化に基づく微生物学的手法とリアクター改良等による工学的手法の両方向から行う。さらに、研究結果に基づき、地下貯留層内での二酸化炭素の挙動とメタンへの変換反応を数値モデル化、解析し、システムの最適化に役立てる。
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