2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20246139
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
関口 哲弘 Japan Atomic Energy Agency, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (20373235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 祐治 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (90360403)
下山 巖 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究職 (10425572)
本田 充紀 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 博士研究員 (10435597)
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Keywords | 光電子顕微鏡 / 放射光 / 有機半導体 / 有機薄膜 / 直線偏光 / ナノ材料 / X線吸収測定 / 電気化学反応 |
Research Abstract |
平成20年度交付申請書の研究目的・実放計画に基づき、ナノメートル領域の分子配向を測定することを可能とする実験装置システムの設計・製作を完了した。その装置は光電子顕微鏡検出系を備え持ち、約50nmの空間分解能で有機薄膜材料における各微小領域のX線吸収スペクトルやその直線偏光角度依存を測定することができる。それを実現するため、装置は1、超高真空測定容器部、2、光電子顕微鏡部、3、精密試料ステージ部、4、高真空排気容器部、5、試料準備転送部の5部分に分けて設計・製作された。超高真空測定容器部は除振機能を持ち、殻射光X線軸に対し超高真空度を保ったまま360度回転可能であり、他の2〜5の部分を適宜接続及び切断することができる。また、ターボ分子ポンプ、ゲートバルブ、観察窓、熱着ポートを備えており、有機半導体の分子蒸着を行いながら光電子顕微鏡観察を行うことができる。高空間分解能測定の際は機械振動のない吸着ポンプのみで排気が可能である。光電子顕微鏡部としてはエネルギーフィルターを備え持つ装置を製作した。これは拡大電子レンズ系の電位制御により光電子の運動エネルギーを選別して顕微測定を行うことができ、化学シフトを利用して化学環境の異なる元素を選別して顕微鏡観察を行うことができるという特長をもつ。また、精密試料ステージ部では10ナノメートルの水平方向空間分解能、1ミクロンメートルの垂直方向分解能、0.00004度の面内回転精度をもって試料基板の位置制御を行うことできるものを製作した。 先行に行った研究として、分子蒸着法により金基放上に有機半導体である金属フタロシアニン分子のマイクロパターン薄膜試料を作製し、加熱による分子の熱拡散過程及び分子配向変化を調べた。光源として直線偏光をもつSi,Cl-K殻吸収端領域の軟X線放射光を用いた。得られた成果として、試料全体のX線吸収スペクトルではほぼランダム配向を示したが、光電子顕微測定により基板に対し水平方向に分子面が配向した微小領域と垂直方向に分子配向した領域を区別することができた。ナノメーター領域において固体表面における分子配向効果を観察した例は皆無に等しく意義深い結果である。
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