2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20246139
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
関口 哲弘 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (20373235)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 祐治 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (90360403)
下山 巌 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (10425572)
|
Keywords | 光電子顕微鏡 / 放射光 / 有機半導体 / 有機薄膜 / 直線偏光 / ナノ材料 / X線吸収測定 |
Research Abstract |
種々の直線偏光角度の真空紫外光照射下における有機半導体薄膜の光電子顕微鏡(PEEM)観測を行う装置の高度化を施した。具体的には重水素放電による真空紫外光源の直線偏光化のための変換素子を真空条件下で最適化調整した。また光電子顕微鏡の蛍光板からの微弱発光を高感度低温冷却CCDまで高効率に伝送し位置の微調整をすることのできるレンズ光学系を設計製作した。それにより検出感度が格段に向上した。構成として、蛍光板固定フランジ、集光調整レンズ固定筒(SIGMA、F値1.8、焦点距離28mm)、CCD固定具、および遮光筒(東京インスツルメンツ)からなる。またCCD検出器を360度方向で駆動可能となった。 有機半導体であるSiフタロシアニン(SiPc)分子の配向薄膜を作成し、重合により高配向一次元有機半導体[-(SiPc0)n-]を合成する技術の基礎研究を行った。HOPG基板上にSiPcC12分子を分散させ、400°Cに加熱することにより、X線吸収スペクトルに強い偏光角度依存性が観測された。分子がよく配向していることを示す。X線吸収ピークの起源と励起対称性を知るために分子軌道法によるx線吸収スペクトルのシミュレーションを試みた。-SiPc0-構造の理論計算スペクトルが実験とよく一致したことから、-[SiPc0]n-型分子積層構造が生成されたと結論した。また、観測された2つの強い吸収バンドは電子励起状態の理論計算結果によりよく説明された。σ*(Si-N)とσ*(Si-0)空分子軌道への遷移と帰属され、観測された偏光角度依存性から-[SiPc0]n-積層体の主鎖(Si-0-軸)は基板垂直方向に配向成長したと結論された。
|