2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20247006
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 雅啓 National Museum of Nature and Science, Tokyo, 植物研究部, 部長 (20093221)
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Keywords | ゼンマイ / 分子系統 / 種分化 / 雑種 |
Research Abstract |
1)インド、タイ、ラオスで植物調査を行い、材料を収集した。静岡県と埼玉県、宮崎県他で集団構造について現地調査を行い、材料を収集した。 2)ゼンマイ、ヤシャゼンマイ、レガリスゼンマイについて核遺伝子複数種と葉緑体遺伝子を用いて系統解析した。両遺伝子の系統I関係は大きく食い違い、核遺伝子ではゼンマイとレガリスゼンマイがそれぞれ単系統群をなし、ヤシャゼンマイはそのいずれかに近縁であった。一方、葉緑体遺伝子ではレガリスゼンマイは側系統群となり、アメリカの植物はゼンマイに近縁であった。この結果から、東アジアのゼンマイと現在ではアメリカに分布するレガリスゼンマイの間で浸透性交雑が起った可能性などが考えられる。現在、核遺伝子数を増やして解析中である。 3)ゼンマイとヤシャゼンマイとの間の推定雑種オオバヤシャゼンマイの生態調査と系統解析および集団遺伝学的解析から、雑種2代等を含む複合雑種であることが示唆された。 4)ゼンマイとレガリスゼンマイの間で葉の二型性以外の区別点を見つけるために標本観察した結果、側脈の間隔に量的な違いがあることがわかった。この違いは印象化石が豊富なゼンマイ類の化石調査で有効であると期待される。 5)ラオスのレガリスゼンマイの染色体を観察した結果、倍数体であることを自生個体としては世界で初めて見いだした。そのゲノムは複雑であり、解析を継続している。 6)世界のいくつかの植物標本室に保管されている標本を調べ、文献情報を加えて、現生種と化石種の詳細な分布域を明らかにした。
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