2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20247006
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 雅啓 National Museum of Nature and Science, Tokyo, 植物研究部, 部長 (20093221)
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Keywords | ゼンマイ / 分子系統 / 種分化 / 雑種 |
Research Abstract |
1)ゼンマイ、ヤシャゼンマイ、レガリスゼンマイについて複数の核遺伝子領域と葉緑体遺伝子を用いて系統解析を行なった。調べたすべての遺伝子を合わせて系統解析したところ、ゼンマイ・ヤシャゼンマイの系統とレガリスゼンマイの系統に分かれ、レガリスゼンマイはアメリカの亜系統とヨーロッパ・アフリカ・アジアの亜系統に分かれた。一方、葉緑体遺伝子からゼンマイ・ヤシャゼンマイはアメリカの亜系統と姉妹群をなした。この結果から、ゼンマイとレガリスゼンマイが分化した後で、東アジアのゼンマイと、アメリカに分布するレガリスゼンマイ亜系統の間で浸透性交雑が起ったなど可能性が考えられた。これは、種分化の過程で、両種の間に複雑な関わりがあったことを示唆するものである。 2)ゼンマイとヤシャゼンマイの間の推定雑種オオバヤシャゼンマイの生態調査と系統解析及び集団遺伝学的解析から、雑種1代、2代、戻し交配を含み、部分的に胞子繁殖する複合雑種であることが示唆された。 3)ラオスのレガリスゼンマイとしたものは新種ラオスゼンマイであることが明らかになった。細胞分類学的観察、葉緑体遺伝子解析、核遺伝子解析の結果を総合すると、ラオスゼンマイは、インドのレガリスゼンマイを母親とし、ゼンマイを父親とする複2倍体であると推定された。本新種はゼンマイ科で初めての発見である。ベトナム最北部を除く東南アジアには現在ゼンマイ類が分布しないことを考慮すると、過去に分布域が変動した際に、種間雑種と倍数化が起ったと示唆された。 4)世界のいくつかの植物標本室および化石資料室に保管されている標本を調べ、現生種と化石種の詳細な形態比較を行なった。
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Research Products
(4 results)