2010 Fiscal Year Annual Research Report
脂質性シグナル分子産生酵素のパートナー蛋白質の網羅的探索を基盤とした生理機能解析
Project/Area Number |
20247010
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
金保 安則 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (00214437)
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Keywords | PIP5K / NMDA / AMPA受容体 / 海馬神経細胞 / スパイン / AP-2 / クラスリン / エンドサイトーシス |
Research Abstract |
本研究では、脂質性シグナル伝達系の鍵分子であるホスファチジルイノシトール4-リン酸5-キナーゼ(PIP5K)とホスホリパーゼD(PLD)の各アイソザイムのパートナー蛋白質を探索・同定して、それを基盤としてPIP5KとPLDの各アイソザイムの生理機能を解明することを目的とした。本年度は、PIP5Kに関して、以下の知見を得た。 哺乳類PIP5KにはA、B、Cの三種類のアイソザイムが存在し、PIP5K_CにはC635、C661、C687の三種類のスプライシングバリアントが同定されている。これらのうち、PIP5K_C661は脳・神経系に特異的に発現している。今年度は、PIP5K_C661は、マウス海馬神経細胞のポストシナプスのスパインにおいてNMDA刺激に伴ってcalcineurinやPP1によって脱リン酸化され、この脱リン酸化型PIP5K_C661がクラスリンアダプター蛋白質のAP-2と相互作用して活性化されることを見いだした。さらに、PIP5K_C661の脱リン酸化とそれに続くAP-2との相互作用は、AMPA受容体のエンドサイトーシスを促進し、それに続く低頻度刺激有機性の長期抑制を誘起することを明らかにした。 これらの知見から、海馬神経細胞のスパインにおいて、PIP5K_C661はNMDA刺激により脱リン酸化されてAP-2と相互作用することにより活性化され、スパインの細胞膜局所でホスファチジルイノシトール4,5-二リン酸を産生することによりAMPA受容体のクラスリン依存的エンドサイトーシスを促進して長期抑制を誘起するという、新たな長期抑制誘導メカニズムを提唱した。
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Research Products
(14 results)