2010 Fiscal Year Annual Research Report
イオンチャネルの構造-機能ダイナミクス:ゲーティング構造変化の単一分子解析
Project/Area Number |
20247016
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
老木 成稔 福井大学, 医学部, 教授 (10185176)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 真幸 福井大学, 医学部, 助教 (40452122)
清水 啓史 福井大学, 医学部, 講師 (50324158)
今野 卓 福井大学, 医学部, 准教授 (50225637)
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Keywords | チャネル / 構造変化 / ゲーティング / 構造機能相関 / 一分子計測 |
Research Abstract |
本研究には高輝度放射光施設での実験が不可欠であり、SPring-8(播磨)だけでなく、海外の施設での実験を継続して行った。SPring-8と同等の性能をもつESRF(フランス、グルノーブル)とSLS、(スイス、フィリケン)で年間約400時間にわたって実験を行った。この間、(1)ノイズを低減させるための様々な改良、(2)データ取得を効率よくおこなうための基礎的実験、(3)pHジャンプ実験、を行い、それぞれの項目で十分な成果を得ることができた。X線回折像の背景ノイズを低減させるためにX線の特性、サンプルの配置など詳細に検討し、高い信号雑音比を得ることができた。これにより従来ビデオレート(毎秒30フレーム)の測定を5000フレームにまで高速化することに成功し、構造変化の軌跡を詳細にたどることができるようになった。X線測定中に溶液のpHを速やかに変化させるために、様々な工夫を行った。この方法では密閉容器で実験する必要があり、測定中にpH変化させるために、caged化合物を使用し、速やかに溶液のpHを酸性に変化させることに成功した。 KcsAチャネルは中性pHではゲートが閉じたままであるが、酸性pHでゲーティングを起こす。従って、pHジャンプによって閉じていたチャネルが開き始める過程を高い時間分解能で測定することができる。レーザー照射前後でKcsAチャネルの動きに変化が現れることを捉えることに成功した。 このような実験を何百回と繰り返し、現在、得られた膨大な画像データを解析中である。詳細な結果はさらに数カ月の解析を必要とするが、定性的には結果は明らかであり、チャネルがpH変化の前後でどのような構造変化が起こるかを初めて測定することに成功した。
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Research Products
(19 results)