2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト人工染色体を用いた染色体基本機能の解析と次世代人工染色体の開発
Project/Area Number |
20247019
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Research Institution | Kazusa DNA Research Institute |
Principal Investigator |
舛本 寛 Kazusa DNA Research Institute, ヒトゲノム研究部, 室長 (70229384)
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Keywords | 遺伝学 / 染色体 / 分配 / セントロメア / 人工染色体 |
Research Abstract |
ヒト染色体セントロメ由来のアルフォイドDNAを細胞へ導入すると、宿主染色体に組込まれることなく細胞増殖を通じて安定に維持される1本のヒト人工染色体(HAC)が形成される。本研究では人工染色体を用いて以下の染色体基本機能の解析を進めた。 (1)セントロメア・キネトコア形成の機構解明:アルフォイドDNA配列に依存した新規ヒトおよびマウスセントロメア構造形成について明らかにするため、細胞へ導入直後のDNA上へのセントロメア特異的ヒストンH3(CENP-A)の集合を検出できるtransient ChIP assayを開発し、セントロメア形成に必須な配列とタンパク因子の解析を進めた。(2)染色体機能領域の解明:哺乳類細胞ではセントロメア機能とヘテロクロマチンとの関連性には不明な点が多く残されたままである。人工染色体形成とtransient ChIP assayを組み合わせた解析により,転写が起るとその下流領域からヘテロクロマチン形成が起こることを明らかにした。(3)tetOアルフォイドHACを用いたクロマチン修飾機構のセントロメア機能への関与:tetO配列をアルフォイドDNAに組込んで,この配列からなるHACを作成した。セントロメア・キネトコア機能とエピジェネティックなクロマチン修飾機構との関連性について明らかにすることを目的に、ヒストンメチル化酵素、ヒストンアセチル化酵素等とtetRとの融合タンパク質を人工染色体のtetO配列に結合させた。ChIP解析と蛍光顕微鏡による観察の結果、セントロメアでのクロマチン構造形成が融合タンパク質によりヘテロクロマチン側かユウクロマチン側に大きく偏った時にはキネトコア構造の維持が不可能になり、人工染色体は分配機能を失い、微小核となり,やがては細胞からも失われて行くことを明らかにした。(Nakano et al,2008)
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