2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト人工染色体を用いた染色体基本機能の解析と次世代人工染色体の開発
Project/Area Number |
20247019
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Research Institution | Kazusa DNA Research Institute |
Principal Investigator |
舛本 寛 Kazusa DNA Research Institute, ヒトゲノム研究部, 室長 (70229384)
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Keywords | 遺伝学 / 染色体 / 分配 / セントロメア / 人工染色体 |
Research Abstract |
ヒト染色体セントロメ由来のアルフォイドDNAを細胞へ導入すると、安定に分配維持される1本のヒト人工染色体(HAC)が形成される。本研究では人工染色体を用いて以下の染色体基本機能の解析を進めた。(1)セントロメア・キネトコア形成の機構解明:アルフォイドDNA配列に依存した新規ヒトおよびマウスセントロメア構造形成について明らかにするため、細胞へ導入直後のDNA上へのセントロメア特異的ヒストンH3(CENP-A)の集合を検出できるtransient ChIP assayを用いて調べた結果、アルフォイドDNAへのCENP-Bの結合に依存して、調べた全ての細胞株でCENP-Aクロマチンの集合が起ること、ところがその後の安定性には細胞株ごとに差があること、などを明らかにした。(2)染色体機能領域の解明:哺乳類細胞ではセントロメア機能とヘテロクロマチンとの関連性には不明な点が多く残されたままである。人工染色体形成とtransient ChIP assayを組み合わせた解析により,人工染色体上で転写が起るとその下流領域からヘテロクロマチン形成が誘導されることを明らかにした。(3)tet0アルフォイドHACを用いたクロマチン修飾機構のセントロメア機能への関与:tet0配列を組込んだアルフォイドDNAからHACを作成した。セントロメア・キネトコア機能とエピジェネティックなクロマチン修飾機構との関連性について明らかにすることを目的に、ヒストンメチル化酵素、アセチル化酵素等とtetRとの融合タンパク質をHAC上のtet0配列に結合させた。その結果、クロマチン構造形成がヘテロクロマチン側へ過剰に偏った時にはキネトコア構造が維持不可能になり、人工染色体は脱落することを明らかにした。この系を用いてクロマチン集合バランスを調節することで、これまで不可能であった細胞株でも人工染色体形成を可能にした。
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Research Products
(5 results)