2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト人工染色体を用いた染色体基本機能の解析と次世代人工染色体の開発
Project/Area Number |
20247019
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Research Institution | Kazusa DNA Research Institute |
Principal Investigator |
舛本 寛 (財)かずさDNA研究所, ヒトゲノム研究部, 室長 (70229384)
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Keywords | 遺伝学 / 染色体 / 分配 / セントロメア / 人工染色体 |
Research Abstract |
ヒト染色体セントロメ由来のアルフォイドDNAを細胞へ導入すると、安定に分配維持される1本のヒト人工染色体(HAC)が形成される。本研究計画ではこれまで、このヒト人工染色体を用いて、セントロメア・キネトコア構造形成の機構解明についての研究を進めて来た。本年度は特に、セントロメア・キネトコア構造形成とエピジェネティックなクロマチン修飾機構との関連性について明らかにすることを目標に研究を進めた。多様な細胞株のセントロメアに於けるクロマチン集合バランスを解析した結果、クロマチン集合バランスは細胞株ごとに大幅に変化しており、この変化はそれぞれの細胞株での人工染色体形成活性と強い関連性があることを発見した。そこで、テトラサイクリンリプレッサー(tetR)とヒストンメチル化酵素、アセチル化酵素等との融合タンパク質を人工染色体アルフォイド配列上に組込んだテトラサイクリンオペレーター(tet0)配列に結合させ、人為的にクロマチン集合バランスを偏らせる系を構築して解析を進めた。その結果、ヒストンメチル化酵素Suv39との融合タンパク質の結合によりヘテロクロマチン(H3K9me3)を過剰に誘導するとセントロメア/キネトコア構造が破壊され、人工染色体は分配機能を無くし、細胞核から脱落することを明らかにした。逆に、ヒストンアセチル化酵素HATとの融合タンパク質の結合は、セントロメアクロマチンの集合を促進し、tet0-アルフォイド上に巨大なキネトコアを誘導した。また、このtet0/Rシステムを用いてクロマチン集合バランスを人為的に調節することで、これまで不可能であった細胞株でも人工染色体形成を可能にし、セントロメアに於けるクロマチン集合バランスの重要性を証明した(投稿準備中)。これらの知見を利用して次世代人工染色体の開発を進めている。
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Research Products
(5 results)