2009 Fiscal Year Annual Research Report
フェロモンに応答して作られる減数分裂期のクロマチン構造と染色体核内配置の解析
Project/Area Number |
20247021
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平岡 泰 Osaka University, 生命機能研究科, 教授 (10359078)
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Keywords | 分子生物学 / 染色体 / ゲノム / 可視化 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
分裂酵母では、体細胞分裂から減数分裂に移行すると、核内の染色体の空間配置が、セントロメアクラスターからテロメアクラスターへと劇的に変化することが明らかになっている。この分裂酵母で見られる劇的な染色体空間配置の変化は、ヒトや高等動植物の減数分裂にも共通にみられ、正常な減数分裂の進行に必須である。そのため、この分子基盤の解明は、ヒトや植物などの高等真核生物の減数分裂過程を理解する上でも重要な基盤研究となる。染色体の核内配置の変換は、分裂酵母では接合フェロモンに応答して、MAPキナーゼの作用で起こることがわかっている。本研究課題は、接合フェロモンの作用がどのようにクロマチン構造と染色体核内配置を変化させるか、その分子機構を解明することを目的とする。これまで、フェロモン応答性MAPキナーゼによって挙動が変化するタンパク質群を、発現量解析とイメージング法を用いて網羅的に検索した。本年度は、検索で得られた一群の遺伝子を破壊することによって、減数分裂の進行にどのような影響が出るかを生細胞蛍光イメージングにより解析した。生細胞蛍光イメージング技術について論文を発表した(Asakawa and Hiraoka, 2009, Methods in Molecular Biology)。この方法により、減数分裂における核膜孔複合体の構造と核タンパク質の挙動について解析を行い、第2減数分裂の開始時に特有に核タンパク質の漏出が見られることを発見した。胞子形成の欠損変異株では、この現象が見られないことから、胞子形成に影響することと思われる(Asakawa et al.,未発表)。また、相同染色体の対合過程を生細胞で追跡し、相同染色体の認識の仕組みについてモデルを提唱した(Ding, et al., 2010, FEBS Journal))。
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