2010 Fiscal Year Annual Research Report
フェロモンに応答して作られる減数分裂期のクロマチン構造と染色体核内配置の解析
Project/Area Number |
20247021
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平岡 泰 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (10359078)
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Keywords | 分子生物学 / 染色体 / ゲノム / 可視化 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
分裂酵母では、体細胞分裂から減数分裂に移行すると、核内の染色体の空間配置が、セントロメアクラスターからテロメアクラスターへと劇的に変化することが明らかになっている。この分裂酵母で見られる劇的な染色体空間配置の変化は、ヒトや高等動植物の減数分裂にも共通にみられ、正常な減数分裂の進行に必須である。そのため、この分子基盤の解明は、ヒトや植物などの高等真核生物の減数分裂過程を理解する上でも重要な基盤研究となる。染色体の核内配置の変換は、分裂酵母では接合フェロモンに応答して、MAPキナーゼの作用で起こることがわかっている。本研究課題は、接合フェロモンの作用がどのようにクロマチン構造と染色体核内配置を変化させるか、その分子機構を解明することを目的とする。これまで、フェロモン応答性MAPキナーゼによって挙動が変化するタンパク質群を、発現量解析とイメージング法を用いて網羅的に検索した。本年度は、核膜孔複合体の構造と核タンパク質の挙動を蛍光イメージングで追跡した結果、第2減数分裂の開始時に特有に核タンパク質の漏出が見られることを発見した。これは、減数分裂期に特有に核膜の透過性が一過的に変化することを示し、菌類では核膜構造が細胞終期を通じて常に閉じている(closed mitosis)という従来の定説を覆す新しい発見である。その成果について論文を発表した(Asakawa et al., 2010, Current Biology)。胞子形成の欠損変異株では、この現象が見られないことから、胞子形成に影響することと思われる。
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