2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20247026
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 和俊 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70182194)
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Keywords | 小胞体 / 分子シャペロン / 転写誘導 / ノックアウトマウス / 選別輸送 / 還元 / 脂肪滴 / アポリポプロテイン |
Research Abstract |
1)小胞体ストレス感知の分子機構 小胞体ストレス時にATF6を還元する酵素およびゴルジ体へとエスコートするタンパク質を同定するため、ATF6のC末端側内腔領域ATF6(C)にTAP tag付けた融合タンパク質を発現するプラスミドを作製した。これをHEK293細胞やHeLa細胞に導入すると、合成された融合タンパク質は全長型のATF6と同様に、小胞体内へ移行し、糖鎖修飾を受け、ジスルフィド結合を形成してモノマー及びダイマーとして存在し、短い半減期を示した。小胞体ストレス負荷後、この融合タンパク質は還元され、ゴルジ体へと輸送された。この融合タンパク質に結合するタンパク質をスクリーニングしたところ、既存のBiPに加えてCalnexinとPDIが同定され、これらはシャペロン活性によってこの融合タンパク質に結合していると考えられた。以上の結果から、この融合タンパク質はATF6の活性化に関わるタンパク質を単離同定するのに有用なツールとなると結論した。 2)応答破綻の影響解析 これまでに、ATF6αノックアウトマウスの腹腔に小胞体ストレス誘導剤であるツニカマイシンを投与すると、脂肪肝を形成することを見いだしていた。この原因を解析するため、肝臓から中性脂肪を放出する作用を持つ超低密度リポタンパク質の形成に着目した。超低密度リポタンパク質の形成に必須の役割を果たすApolipoprotein B-100を定量すると、野生型マウスではツニカマイシン投与後一旦減少するもののやがて回復するのに対し、ノックアウトマウスでは減少したままであった。Apolipoprotein B-100は巨大なタンパク質で、通常時でも折り畳まれにくいが、小胞体ストレス時のノックアウトマウスではさらに折り畳まれにくいために減少し、その結果超低密度リポタンパク質が蓄積して肝臓に脂肪滴が溜まっていくと考えられた。
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Research Products
(4 results)