2011 Fiscal Year Annual Research Report
上皮間充織形質転換(EMT)における浸潤性獲得機序の解析
Project/Area Number |
20247027
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐邊 壽孝 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40187282)
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Keywords | EMT / TGFβ1 / p53 / E-cadherin / 細胞浸潤 / Arf6 / AMAP1 / GEP100 |
Research Abstract |
EMT進行に伴う浸潤性獲得機序の解明のため、乳腺上皮細胞NMuMG細胞を用いたTGFβ1によるEMT誘導過程の解析を行って来た。これまでにTGFβ1によりArf6が活性化すること、活性化したArf6はAMAP1をエフェクターとする事、AMAP1はEPB41L5に結合しE-cadherinのendocytosisを引き起こす事、また、Arf6はGEP100により活性化される事、GEP100はEGFR等チロシンリン酸化酵素型受容体により活性化される事を報告してきた。TGFβ1受容体はセリン/スレオニンリン酸化酵素型受容体である。TGFβ1によってチロシンリン酸化酵素型受容体であるc-Metが活性化されること、活性化されたc-MetにGEP100が結合していることを見いだした。この結合は直接ではなく、Gab1が介在した。本年度は、TGFβ1によるc-Met/Arf6活性化機構を明らかにすべく解析を進めた。 この研究費とは別途に行っている研究において、乳癌細胞においては、TGFβ1によるArf6の活性化にはp53のgain-of-function型の変異が必須である事が分かった。文献上、NMuMG細胞は正常細胞であるとされているが、そのp53遺伝子を調べた所、幾つかの変異が見つかり、正常なp53配列は見出せなかった。乳がん細胞の場合、変異p53の発現抑制、野生型p53の戻し実験により、TGFβ1によるArf6の活性化はなくなり、浸潤の活性化もなくなった。現在、NMuMG細胞で内在性p53の発現を抑制したもの、またその上で、野生型p53を発現させたものを作成し、このような細胞でTGFβ1に反応してArf6が活性化しEMTが起こるのか否か、検討を進めている。癌細胞との相違などもたいへん興味深い。
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Research Products
(16 results)