2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20247030
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武田 洋幸 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授 (80179647)
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Keywords | メダカ / 左右軸 / 繊毛 / zic / 体節 / 背腹軸 |
Research Abstract |
本研究では、小型魚類メダカの突然変異体を用いて、左右軸形成と後期の背腹軸形成のメカニズムの解析を進めた。 1.本研究では、既に同定に成功した左右軸変異体,ktu,abcの2つの遺伝子の詳細な解析を進めた。Ktuに関してはH.Omran博士(Freiburg University)との共同で、繊毛病を発症した患者のゲノムDNAを調べた。その結果、この症候群を発生する2家系で、ktu遺伝子の変異が見つかっている。今回新たに単細胞生物であるクラミドモナスの変異体pf13(鞭毛の運動性喪失)の原因遺伝子がktuと相同であることを、D.R.Mitchell(米国)、神谷律博士(生物科学専攻)との共同研究により明らかにした。さらに機能解析の結果、Ktuタンパク質は細胞質中でのダイニンアーム複合体の形成に必至なものであることわかった。今回の研究がきっきかけとなり、今までほとんどわかっていなかった繊毛タンパク質の合成過程の理解が進んだ。一方、abcについては、そのタンパク質の働きを解析中である。 2.メダカDa変異体では、体節の分化異常によりからだの外形(体型やヒレの形)が変化する。Daの原因領域はすでにZic1,4遺伝子が存在する領域に絞り込まれていた。今回この領域の配列決定により、100Kb以上のトランスポゾン様のDNA断片の挿入を見いだした。Zic遺伝子の発現が変異体の体節で特異的に低下していることから、このDNA断片の挿入によりZic遺伝子の体節特異的エンハンサーの活性が落ちた可能性が高い、と推定した。従って体節エンハンサーの絞り込みが重要と考え、DNA断片挿入近傍のゲノムDNA断片の活性を徹底的に調べた(2009年7月終了)。その結果、確かにDNA断片の挿入近傍に、体節背側でZic遺伝子を発現させるエンハンサー活性が存在することを突き止めた。
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