2009 Fiscal Year Annual Research Report
性染色体領域の解析に基づく「雌雄性の誕生」に関する進化生物学的研究
Project/Area Number |
20247032
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野崎 久義 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (40250104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮城島 進也 独立行政法人理化学研究所, 和光中央研究所, 独立主幹研究員 (00443036)
西井 一郎 奈良女子大学, 理学部, 助教 (80392059)
関本 弘之 日本女子大学, 理学部, 准教授 (20281652)
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Keywords | 進化 / 植物 / ゲノム / 性染色体領域 / 雌雄性 |
Research Abstract |
群体性ボルボックス目は、同型配偶から異型配偶/卵生殖に至る進化を研究するためのモデル系統群である。16細胞群体性ゴニウムでは、プラスとマイナスの両方の交配型の配偶子が両方向的接合突起を形成するのに対し、クラミドモナスの配偶子は+型のみが片方向的に接合突起を形成し、異型配偶化の前段階で片方向から両方向へ突起の進化が推定されている。クラミドモナスではプラスとマイナスの交配型で異なる「性染色体領域」が知られており、接合突起に関連した性特異的遺伝子が局在している。我々はゴニウムの性染色体領域のゲノム構造を明らかにし、接合突起の両方向化・異型配偶化にともなう性染色体領域の変化を解明することを目指している。これまでにクラミドモナスでマイナス交配型性染色体領域上の性決定遺伝子CrMIDのゴニウムオーソログ(GpMID)を報告した(Hamaji et al.2008,Genetics)。本年度はGpMID配列を起点としたインバースPCRによって、クラミドモナスで機能未知な性特異的遺伝子MID1のオーソログ(GpMTD1)をゴニウムマイナス交配型ゲノム上に発見した。GpMTD1は群体性ボルボックス目においてMID以外で見出された初めての性特異的遺伝子であり、マイナス交配型のゲノムにシングルコピーでコードされており、マイナス交配型のみに遺伝した。mRNA量は配偶子特異的に増大した。BLASTXによって、GpMTD1と核移行タンパク質ファミリー-karyopherin/importinの弱い相同性が見出された。GpMTD1はMT-配偶子でGpMIDまたはその他の因子を各へと運搬する機能に関与していることが考えられた(Hamaji et al.2009,J.Phycol.)。今後、GpMIDとGpMTD1はゴニウムの性染色体領域の探索・ゲノム解読の為の有用な分子指標となることが期待される。
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Research Products
(4 results)