2010 Fiscal Year Annual Research Report
大量に発見したアフリカ中新世類人猿化石の分析とヒト・類人猿共通祖先モデルの構築
Project/Area Number |
20247033
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Research Institution | Seisen University |
Principal Investigator |
石田 英實 聖泉大学, 人間学部, 教授 (60027480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中務 真人 京都大学, 理学研究科, 教授 (00227828)
国松 豊 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (80243111)
荻原 直道 慶応義塾大学, 理工学部, 講師 (70324605)
清水 大輔 日本モンキーセンター, 研究員 (60432332)
辻川 寛 東北大学, 医学研究科, 助教 (10378573)
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Keywords | 類人猿化石 / 北ケニア / 形熊学的今析 / 中期中新世 / 共通祖先モデル / 総合的研究 / ナチョラピテクス / CTスキャン |
Research Abstract |
北ケニア、ナチョラのBG-K化石サイトから発掘した中期中新世の大型類人猿、ナチョラピテクの化石標本は膨大な数にのぼるが、これらを整理、分析、記載等を行い、この化石類人猿の性差、成長、生態、社会、運動、脳容量、生息環境、系統、進化などの生物学的側面を明らかにすること、および類人猿とヒトとの共通祖先のモデルを構築することが本研究の目的である。 中期中新世類人猿については化石が限られていたが、上記のように私どもは大量に発掘、発見した。クリーニングを進める中で、多くの頭骨片が確認され、中には変形してはいるが欠落した骨がほとんどない頭骨も2個以上あることが判明している。それらの復元を試みているが、これを完成させることで、中期中新世類人猿の顔面と頭蓋の特徴を始めて知ることができる。チンパンジーのように突顎ではないが、オスでは側頭線の発達が顕著である。歯牙化石は顎骨中、または遊離歯として多数あり、その形態から堅果を中心とした食性が推定されが、形状分析をさらに深めるため小型CTスキャナをナイロビに持ち込み、スキャンのあと3次元構築などをおこない、3次元的な形態分析を行っている。椎骨化石は約50個あり、ナチョラピテクスの特徴としては頸椎が大きいことが挙げられる。上肢に見られる著しい発達と合わせて考えると、その移動運動は体を垂直に保った上肢優位なものであると推定される。しかし、骨盤の分析からは四足歩行のヒヒ類に似た形態的特徴がみられ、現生類人猿には似ていないことが判明した。分析が進むにつれ、この化石類人猿の性差、性比、成長、老化といった生物学的側面も徐々に明らかになり、社会構造の復元も視野に入ってきた。
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Research Products
(5 results)