2010 Fiscal Year Annual Research Report
バラ科サクラ属に特異なS-RNase依存性配偶体型自家不和合性認識機構の解明
Project/Area Number |
20248004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田尾 龍太郎 京都大学, 農学研究科, 准教授 (10211997)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山根 久代 京都大学, 農学研究科, 講師 (80335306)
羽生 剛 京都大学, 農学研究科, 助教 (60335304)
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Keywords | アーモンド / アンズ / ウメ / オウトウ / 核果類 / スモモ / S-RNase / SFB |
Research Abstract |
バラ科サクラ属果樹の多くは配偶体型自家不和合性を示し,このことがサクラ属果樹の栽培や育種を行う上で大きな障壁となっている.本研究では,サクラ属果樹における自家不和合性の分子機構を解明し,得られた知見を園芸・育種学的に利用しようとして研究を進めている.研究3年目の本年度は以下の研究を行った. (1)S.RNaseと相互作用する遺伝子を酵母のツーハイブリッドスクリーニングにより探索したところ,アクチンがS-RNaseと結合する可能性が示された.このためS-RNaseの細胞毒性発揮は,これまでに考えられていたRNAの分解以外によるものである可能性が示唆された. (2)花粉側因子であるSFBと結合する花粉特異的Skp1をクローニングすることに成功した.進化系統解析の結果,このSkp1は,ナス科植物やオオバコか植物の花粉側因子であるF-box遺伝子と結合するSkp1と同じクレードに属することが示された. (3)昨年度までの研究でSLFL1が単独で不和合性共通因子として働く可能性は低いことが明らかになっている.しかしながら,バラ科サクラ属と同じS-RNase依存性配偶体型自家不和合性を示すナス科植物ではS遺伝子座に存在するF-box遺伝子が協調して,非自己のS-RNaseの不活化に関わっていることが示されたため,SLFLsのSCF形成能を再度検討した.その結果,SLFLSは,SFBが結合するSkp1と結合することが明らかになった. (4)次世代シークエンサ技術を用いて,和合および不和合受粉した雌ずいおよび花粉で発現するmRNAを網羅的に解析したところ,SLFLsを含む,いくつかの遺伝子の発現変動が,不和合・和合受粉特異的に生じることが明らかになった.
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Research Products
(4 results)