2009 Fiscal Year Annual Research Report
SAGE法を用いたいもち病菌非病原力遺伝子の網羅的クローニングと変異性の比較解析
Project/Area Number |
20248005
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
土佐 幸雄 Kobe University, 農学研究科, 教授 (20172158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺内 良平 , 財団法人・岩手生物工学研究センター, 主席研究員 (50236981)
草場 基章 佐賀大学, 農学部, 准教授 (90304881)
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Keywords | Magnaporthe oryzae / Pyricularia oryzae / Avirulence gene / Rice / blast |
Research Abstract |
前年度、レース-品種間品種特異性に関与する非病原力遺伝子をいくつかクローニングした。これらのうちAVR-Pia、AVR-Piiのいもち病菌(Pyricularia spp.)集団における分布を、すでにクローニングされているAVR-Pitaとともにサザンハイブリダイゼーションによって調べたところ、メヒシバ菌(P.grisea)は供試5菌株すべてがこれら3非病原力遺伝子を保有していることが判明した。そこで、AVR-Piaについてさらに詳しく解析した。まず、日本産菌株についてそのレース番号とサザンシグナルの有無をつき合わせたところ、抵抗性遺伝子Piaに非病原性の菌株はシグナルを有するが病原性の菌株はこれを持たないという100%一致が認められた。このことから、いもち病菌がPiaを侵すように変異するための一般的な方法は、AVR-Piaの完全欠失であることが判明した。次に、これら日本産イネ菌非病原性菌株の(機能を持つ)AVR-Piaをシークエンスしたところ、菌株間で100%一致した。さらに、他の菌株のホモログをシークエンスしたところ、メヒシバ菌が、上記のイネ菌functional AVR-Piaと100%塩基配列が同じAVR-Piaを保有することが判明した。これは、遺伝子の種を超えた移行を示すもので水平移動(Horizontal transfer)の範疇に入るが、供試メヒシバ菌がすべてこの「イネ菌と100%同じ遺伝子」を持っていたことから、その移動の方向は「メヒシバ菌→イネ菌」であると考えた。我々はすでに、AVR-Pitaについても、メヒシバ菌からキビ菌へ水平移動したことを示す証拠を得ている。これらの事実を総合し、メヒシバ菌は、イネ菌非病原力遺伝子のreservoirとしての役割を果たしているのではないかと考えた。
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Research Products
(4 results)