2009 Fiscal Year Annual Research Report
芳香環二原子酸素添加酵素における電子伝達コンバーネント撰択性の分子基盤の解明
Project/Area Number |
20248010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野尻 秀昭 東京大学, 生物生産工学研究センター, 准教授 (90272468)
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Keywords | 芳香環水酸化オキシゲナーゼ / 電子伝達 / タンパク質間相互作用 / 結晶構造 / 結合定数 / biodegradation / 細菌 / オキシゲナーゼ |
Research Abstract |
本研究は、芳香環二原子酸素添加酵素(RO)の活性発現にきわめて重要な、酸化酵素(Oxy)とその電子供与体(フェレドキシン,Fd)間の電子伝達様式の徹底的な解明を目指すものである。このプロセスは、還元型Fdと酸化型Oxyの結合・電子伝達(Oxyの還元)・酸化型Fdと還元型Oxyの乖離からなるが、これは酸化還元状態に拠った結合しやすさに依存した現象と考えられる。そこで、本研究は、酸化還元状態特異的なタンパク質構造変化と結合定数(結合力)変化を検出し、このプロセスを合理的に説明することを目的としている。本年度は、嫌気条件下でFdとOxyが安定なバッファー条件、濃縮条件を確立すると共に、還元型Oxy溶液と酸化型Fd溶液を混合して結晶化に供することで両者の共結晶を得ることにも成功した。顕微分光解析の結果、還元型Oxyと酸化型Fdが結合している結晶であることも確認した。この結晶をX線回折データの取得を試みたところ、分解能2.2Åで構造データを取得することに成功した。また、基質であるカルバゾールをソーキングすることで、カルバゾールとの複合体構造も分解能3.3Åで取得することができた。得られた構造はFdからOxyへの電子伝達直後の構造と考えられるが、以前に得られていた電子伝達前の構造と類似と考えられる構造との比較から、電子伝達前にFdの二つのグルタミン酸残基と各々水素結合しているOxyの二つのアルギニン残基が電子伝達によってフリップを起こし、結合が不安定化している可能性が示唆された。また、カルバゾールの結合構造より、実際の反応サイクルの過程ではFdの乖離後に基質が結合する可能性も示された。一方、予備的なITCの解析から、嫌気条件下でのITCによる活性測定の目処が付いた。
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Research Products
(9 results)