2010 Fiscal Year Annual Research Report
芳香環二原子酸素添加酵素における電子伝達コンポーネント選択性の分子基盤の解明
Project/Area Number |
20248010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野尻 秀昭 東京大学, 生物生産工学研究センター, 准教授 (90272468)
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Keywords | 芳香環水酸化オキシゲナーゼ / 電子伝達 / タンパク質間相互作用 / 結晶構造 / 結合定数 / biodegradation / 細菌 / オキシゲナーゼ |
Research Abstract |
本年度は、反応サイクル中で起こりうる構造の中で構造解析が成功していなかった還元型のOxyと還元型Fdのうち、還元型Fdの構造解明に分解能1.7Aで成功した。平成21年度に明らかにした還元型Oxy:酸化型Fdの複合体構造からOxy側の二つのアルギニン(Arg118,Arg210)とFd側の二つのグルタミン酸(Glu43,Glu55)それぞれの間の塩橋・水素結合が結合・乖離に重要である事が明らかになっていたが、還元型Fdの構造が取得できたことによって、還元型・酸化型のいずれのFdの場合でもGlu43,Glu55は大きな構造変化は起こらないことが示された。この結果は、酸化還元状態の変化によって結合乖離が引き起こされる際には、Oxy側の構造要因が大きい可能性を示唆するものである。これは、平成21年度の複合体構造を基にした考察と合致する結果であった。そこで、Oxyの二つのアルギニン残基に対してアラニン置換を導入し、再構成系での基質酸化活性、吸光度解析による電子伝達活性に対するアミノ酸置換の効果を評価したところ、Alg210、Alg118、二重置換体の順で活性が低下し、単一のアミノ酸の寄与としてはAlg118の方が大きいこと、二つのアミノ酸は強調して機能することが証明された。また、ITCによる結合活性の評価の結果、二重置換体とAlg118置換体では発生する熱量が大きく減少して結合自体が起きにくくなっていることが示され、Alg210置換体でも結合定数は変化しないものの複合体形成時の結合比が5割程度に減少していた。これらの結果は、両コンポーネントの結合自体は疎水相互作用を駆動力で起こるが、周囲の塩橋・水素結合が複合体を安定化することで、効率的な電子伝達を実現していることを示している。
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Research Products
(7 results)