2010 Fiscal Year Annual Research Report
消化管におけるストレス応答とその食品因子による制御の分子基盤解析
Project/Area Number |
20248013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 誠 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30114507)
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Keywords | 腸管上皮細胞 / 炎症モデル / 複合培養 / 抗ストレス作用 |
Research Abstract |
本研究は、最近増加している過敏性腸症候群(IBS)のような疾病の原因と考えられる「腸管におけるストレス応答」を細胞・分子レベルで解析するために、新規なin vitro,in vivo実験系を構築し、それを用いてIBS等の予防や改善に役立つ食品因子を探索すること、さらにはその抗ストレス作用の分子メカニズムを解明することを目的としている。腸管における上皮細胞(IEC)と他の細胞(マクロファージ、マスト細胞、神経細胞)の相互作用、あるいは摂取した食品因子がIBSの成因に関わると考えられることから、本研究では複数細胞を同時に培養する複合培養系を用いて、腸管の炎症反応の誘導機構や、それに及ぼす各種食品成分の影響を調べた。その結果、マクロファージ様細胞により誘導されるIECの炎症反応において、IEX-1のようなタンパク質が抑制的に関わること、IECの炎症誘導にはある種のフェノールカルボン酸が有用であることなどが見出された。さらに、マスト細胞とIECの間には複雑な相互作用があり、IECの産生する因子により、マスト細胞の分化が促進されるとともに、マスト細胞上でのインテグリンのような接着分子の発現が上昇し、マスト細胞の遊走~接着能が増加すること、一方でマスト細胞の産生する因子によりIECの傷害が誘導されることなどが明らかになった。さらに、ある種の食品ポリフェノール類がIECの傷害を顕著に抑制することも見出された。このような知見は、マスト細胞の制御や食品の摂取によりIBSに伴う炎症を制御できることを示唆するものと考えられる。
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Research Products
(8 results)