2012 Fiscal Year Annual Research Report
森林の時空間的存在様式が昆虫の遺伝的特性に及ぼす影響ーブナ林の昆虫を対象としてー
Project/Area Number |
20248015
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久保田 耕平 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (30272438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 直人 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (90303255)
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Project Period (FY) |
2008-04-08 – 2013-03-31
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Keywords | 遺伝的多様性 / 種分化 / 分散 / 冷温帯林 / ルリクワガタ属 / オオトラフハナムグリ種群 / アリガタハネカクシ属 / ブナアオシャチホコ |
Research Abstract |
本研究課題では、ブナ帯(冷温帯落葉広葉樹林帯)に生息する昆虫類を主たる対象として、各地域個体群の遺伝的、生態的、形態的分化に焦点を当て、その存在基盤となる森林の歴史的・空間的存在パターンが、昆虫の多様性創出にどのような影響を与えているかを検討することを目的としている。解析対象は穿孔虫(ルリクワガタ属等のクワガタムシ科とそれらの共生酵母、オオトラフハナムグリ種群、ヒゲナガカミキリ族)、食葉性昆虫(ブナアオシャチホコ)、歩行性昆虫(オサムシ族、ヒラタシデムシ属、アリガタハネカクシ属)等である。 本年度、オサムシ族オオオサムシ亜属の種分化と交尾器形態のlock-and-keyの関係に関わる論文が公表された。また、前年に公表されたルリクワガタ属の遺伝子解析による分化過程を推定した論文の解説記事を公表した。また、ブナアオシャチホコの遺伝的分化に関する研究の続報、クワガタ系統とそれらの共生酵母の系統に関する研究、ルリクワガタ属の分布境界域で生じていると推定される生殖的形質置換の研究について進展が見られ、学会で成果を公表した。 主な成果として、ブナアオシャチホコでは種内分化が非常に新しく、後氷期に津軽海峡をも越えて分散したことが強く推定されたこと、クワガタの共生酵母には、クワガタの種と種特異性が認められるものの、必ずしもそれらの系統は一致しないこと、コルリクワガタ種群では、寒冷期に低地に退避して種分化をおこしたと考えられる種間で、二次的接触による生殖的形質置換が生じていることや極めて強い排他的分布を示していること等が明らかになった。 全体を通して、昆虫の分類群の分散能力や、ブナ帯の中でもより低温地帯・高温地帯のいずれに生息するか等によって個体群分化に異なるパターンが認められた。また、西南日本が遺伝的分化の中心であることは各群に共通していた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(9 results)