2008 Fiscal Year Annual Research Report
スギ分子育種に向けたノルリグナン生合成の生化学的・分子生物学的検討
Project/Area Number |
20248018
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
今井 貴規 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (20252281)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 和彦 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (80222256)
吉田 正人 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (30242845)
三屋 史朗 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教 (70432250)
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Keywords | ノルリグナン / 生合成 / 酵素 / 遺伝子 / スギ / アガサレジノール / セクイリンC |
Research Abstract |
(1)ノルリグナンの一種であるアガサレジノールからセクイリンCへの変換に関わる水酸化酵素遺伝子(AGTH)のクローニングに向けて、分子生物学的実験の材料に不向きとされてきた樹木材部から、核酸(mRNA)を得る手順の確立を目指した。植物からmRNAを単離するために広く用いられているCTAB法では、樹木試料20gからでも十分量のmRNAを得ることができなかった。市販のmRNA抽出用キット試薬を用いた場合、樹木試料2gからmRNAを単離することができたが、得られる量は一般植物を同量用いた場合の1/10程度であり、今回の手順を10回程度繰り返す必要があることが分かった。この10回繰り返しは非現実的ではなく、したがってAGTHのクローニングを含めて一般的な植物分子生物学実験と同様の、網羅的な樹木材部遺伝子解析のための手順を確立することができた。さらに蛍光ディファレンシャルディスプレイ法によって、樹木材部で発現している遺伝子が材の部位によって異なることを確認することができた。なお、以前の酵素実験と同様、本遺伝子実験にも凍結粉砕材部試料が有用であった。 (2)AGTH活性の違いの調査に向けて、アガサレジノールとセクイリンCの含有割合比(組成比)ならびにこれら以外のノルリグナンの存在を、様々なスギのクローン(29クローン、85個体)、品種(36品種、101個体)を用いて統計学的に調査した。その結果、アガサレジノール・セクイリンC含有量、アガサレジノール/セクイリンC組成比に明らかなクローン間および品種間差が認められ、これらノルリグナンの生合成が遺伝的に制御されていることが示された。特に、セクイリンC蓄積量の多いクローン・品種ではAGTH活性の高いことも予想される。その他のノルリグナンであるスギレジノールおよびヒドロキシスギレジノールを含む個体は極めて稀であり(出現頻度:2%程度)、またこれらの蓄積量に品種間差は認められなかった。
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Research Products
(13 results)