2010 Fiscal Year Annual Research Report
スギ分子育種に向けたノルリグナン生合成の生化学的・分子生物学的検討
Project/Area Number |
20248018
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
今井 貴規 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (20252281)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 正人 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (30242845)
三屋 史郎 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (70432250)
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Keywords | ノルリグナン / 生合成 / 酵素 / 遺伝子 / 心材形成 / アガサレジノール / セクイリンC / スギ |
Research Abstract |
スギ心材色発現機構として、酵素酸化による心材成分の二次変化を想定し、スギ心材由来粗酵素液を用いたスギ心材ノルリグナン(アガサレジノール、セクイリンC)の酵素酸化検定を行った。酵素反応液は黄色となり特にセクイリンC反応液の着色がより著しく、また反応後にHPLC検出される両ノルリグナン基質量が減少した。さらに西洋ワサビ由来ペルオキシダーゼを用いたモデル的検討において、反応液は著しく着色し特にセクイリンC反応液は褐色を示す400nmに明瞭な吸収ピークを示し、また反応液のサイズ排除HPLC分析では酵素量の増加に伴う反応後両ノルリグナン基質量の減少ならびにアガサレジノールの重合が確認されたが、セクイリンCの重合は明瞭ではなかった。以上の結果からスギ心材色発現の一機構として、心材におけるアガサレジノールの酵素酸化重合、セクイリンCの着色構造への酵素酸化的変化が示唆された。 これまでの我々のスギ精英樹クローンを用いた研究により、スギ心材ノルリグナン蓄積量および組成に関して遺伝的な制御が示唆された。しかしながら、クローン間差の評価のみでは、有性生殖による次世代への遺伝性は依然として不明である。そこで本報告では、不完全フルダイアレルスギ交配家系を用いて、心材ノルリグナンの蓄積量および組成の遺伝的特性を評価した。その結果、心材抽出物量については明瞭な家系間差が確認され狭義の遺伝率は高かったが、ノルリグナン蓄積量および組成については家系間差が認められにくく、狭義の遺伝率は低いものであった。これは、ノルリグナン以外のスギ心材抽出物と比較し、ノルリグナンはその心材堆積後に二次的な変質などの環境要因による影響を受けやすい形質であるためと考えられる。
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Research Products
(8 results)