2010 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子組換え酵母の生育能回復試験を用いた抗腫瘍性海洋天然物の探索と創製
Project/Area Number |
20248022
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松永 茂樹 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60183951)
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Keywords | 酵母 / 遺伝子導入 / 変異 / 海綿 / 抗腫瘍 / 生育阻害 / 生育回復 |
Research Abstract |
吉田らが確立した、約5000種類の分裂酵母遺伝子を1つずつ導入した組み換え酵母株において、遺伝子の過剰発現において生育が阻害された169株の遺伝子の機能を調べたところ、ヒトのがん化関連遺伝子のホモログが多数含まれていた。そこで、これらからその阻害によって抗がん剤のリード化合物となることが期待される遺伝子が導入された株5種を選抜した。本年度は前年度に引き続き、2009年に採集された海洋無脊椎動物抽出物ライブラリーを用いて、これら5種の組み換え酵母に対する生育回復試験を行った。多数のサンプルに活性が認められたが、そのうち大多数のサンプルがすべての株に共通して生育回復活性を示した。導入された遺伝子はnmt1の制限下にあるため、このプロモーターに作用して転写を調節する作用を持つ化合物が多くの海洋無脊椎動物に含まれることが、わかっている。 抽出液に生育回復活性が観察されたカイメン。そこで、生育回復に加え、生育阻害物質の検索も並行して実施することとした。前年度までのスクリーニングで強い生育阻害活性が認められた鹿児島県奄美大島産未同定種カイメンS97-013から2種類の活性物質を単離した。それらの構造解析を核磁気共鳴や質量分析などの機器分析を用いて行った。ひとつめの化合物は分子式がC34H56N2で、二重結合を4つ含み、2つ存在する窒素原子はいずれも互いに結合したテトラヒドロピリジン環中にあり、それぞれが3つのメチレン炭素と結合していた。4つの二重結合は2つの環をつなぐアルキル鎖中に認められた。2つめの化合物は1つめの化合物とより1つのアルキル鎖の長さが短く二重結合も2つだけ存在した。現在、立体配置を検討している。
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