2011 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子組換え酵母の生育能回復試験を用いた抗腫瘍性海洋天然物の探索と創製
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20248022
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松永 茂樹 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60183951)
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Keywords | 酵母 / 遺伝子導入 / 変異 / カイメン / 抗腫瘍 / 生育阻害 / 生育回復 |
Research Abstract |
前年度までの研究により、カイメンなどの海洋生物には組換え酵母の生育回復活性を示すものが多数あることがわかった。しかし、導入された遺伝子が異なる5つの株を用いて、並行して実験を行うと、全ての株の生育を回復されるものがほとんどすべての活性検体について認められた。一般に、カイメンには多種多様な共生微生物が含まれるが、そのような微生物がチアミンおよびその生合成前駆体を生産していて、そのような化合物が本アッセイ系を撹乱していることが推察された。そこで、特定の株に対してのみ活性を占める検体を選抜して活性成分の探索を行うことが必須であることが判明した。しかし、そのような試料は大変稀なため、生育阻害物質についても探索を行ってきた。 このような背景の下、本年度はゴン曽根産未同定種カイメンに含まれる生育阻害物質の探索を行った。まず、カイメンをメタノールで抽出し、抽出物をクロロホルムと水で二層分配に付した。水層をさらにブタノールで抽出し、ブタノール層を逆相カラムクロマトグラフィー、シリカゲルカラムクロマトグラフィーおよび逆相高速液体クロマトグラフィーに付して、4種類の活性物質を単離した。それらの構造解析を行ったところ、2置換インドール、2置換ベンゼン環に加え多数のアミド基由来のNHが観察された。詳細に2次元NMRデータを解析したところ、カイメンから見いだされてミクロスクレロダーミン類とよく似ていることが判明した。現在、立体化学を含めた構造解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アッセイ系は安定して機能するようになったが、カイメン中に広く含まれる撹乱物質のため、スクリーニングにおいて効率よく活性試料を抜き出すことが困難である。生育回復活性を示す化合物はチアミンおよびその類縁化合物しか得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
大多数の活性検体は全ての株に対して活性を示すため、チアミンの類縁化合物であると考えられる。しかし、株選択的に生育回復をもたらす試料が少数あるため、最終年度はそれに含まれる活性成分に焦点を絞り研究を進めたい。
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