2010 Fiscal Year Annual Research Report
放牧(食草・運動・エンリッチメント)がウシの快適性・免疫性・生産性に及ぼす影響
Project/Area Number |
20248028
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 衆介 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (80136796)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二宮 茂 東北大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (40508305)
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Keywords | ウシ / エンリッチメント / 放牧 / 身繕い行動 / 運動 / 行動 / オキシトシン |
Research Abstract |
1.放牧が泌乳牛の快適性・免疫性・生産性に及ぼす影響 (1)立毛草を探査・摂食できる放牧区と、刈取草を飼槽で摂食できる放飼区への乳牛の欲求度を、両区への移動速度を指標に調査した。秋(平均気温15.5℃)及び夏(同31.7℃)を問わず、放飼区より放牧区へ有意に早く移動した。通常の移動速度に比べ、放牧区では早く、秋の放飼区では遅い傾向にあった。 (2)立毛草を探査・摂食できる条件(1)、繋牧で立毛草を摂食できる条件(2)、繋留で飼槽から生草を摂食できる条件(3)において、血中オキシトシンから乳牛の快適性を評価した。オキシトシンは、全ての条件において、実験前と比べ4分後に有意に上昇した。加えて条件(1)では、8分後に急激に減少した。 (3)長期放牧搾乳牛と運動場付き舎飼搾乳牛間で、免疫グロブリンに差はなかった。オキシトシンは放牧群が舎飼群より高い値を示した。 2.長期にわたる身繕い用ブラシの使用が肥育牛の快適性・免疫性・生産性に及ぼす影響 8牛房28頭の肥育後期牛を用い、その半分の牛房に出荷まで6ヶ月間身繕い用ブラシを設置し、出荷成績を比較した。枝肉成績に差はなかった。内臓病変による廃棄件数は、ブラシ群では無く、通常飼養群では数頭確認された。ブラシの設置による、ウシの内臓の健康性向上の効果が示唆された。 3.運動場への短時間のアクセス許容が育成牛の福祉改善に及ぼす効果 去勢牛3頭ずつの4群を、それぞれ扉を挟んで運動場(5m×5m)にアクセスできる牛房(5m×5m)に収容し、運動場開放時間(1あるいは5時間)が行動及び血中オキシトシンに及ぼす影響を調査した。運動場では、ほぼ立位姿勢で、探査行動と社会行動が多かった。運動場利用率は、毎日1時間開放しても変らないが、5時間開放すると2日目以降有意に減少した。開放前日に比べて開放4日後の血中オキシトシン濃度は、毎日1時間開放では有意に上昇したが、5時間では差はなかった。
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