2009 Fiscal Year Annual Research Report
黒毛和種牛の遺伝的改良を目的とした遺伝性疾患原因遺伝子の解明と機能解析
Project/Area Number |
20248029
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
国枝 哲夫 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (80178011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 岳人 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (90314682)
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Keywords | 黒毛和種 / 遺伝性疾患 / ポジショナルクローニング / 連鎖解析 / 突然変異 / 遺伝子診断 / ウシ / 家畜 |
Research Abstract |
家畜の育種・改良では肉質などの生産形質を向上させるだけでなく、疾患や繁殖障害などの生産性に負の影響を与える遺伝的な要因を集団より除去することも重要な課題である。特に我が国の主要な肉用種である黒毛和種では、これまでに多くの遺伝性疾患が発生し、家畜生産上大きな問題となっている。そこで、本研究においては現在黒毛和種に多発している前肢帯筋異常症等の遺伝性疾患の原因遺伝子を同定し、その遺伝子診断法を確立するとともに、当該遺伝子の機能の解析を行うことを目的として行われた。 九州地方で発生が報告されてる前肢帯筋異常症については、これまでに予想されていた疾患原因遺伝子が存在する領域の遺伝子に原因となる変異が存在ないことが判明したため、再度これまでに進められてきた連鎖解析による疾患原因遺伝子の染色体上の位置をより正確に特定することを試みた。その結果、従来推測されていた位置から、少し遠位側にずれた約2Mbの領域に疾患原因遺伝子が存在することが明らかとなった。次に、新たに判明した領域に存在する遺伝子についても疾患の原因となる変異を特定することを試みたところ、少なくてもタンパク質のアミノ酸配列に変化を来すような変異は同定できなかった。そこで、遺伝子の変異が同定できていない段階でも、疾患遺伝子を持つキャリア個体を同定するために、連鎖マーカーを用いた遺伝子診断法を確立することを試みた。具体的にはこれまでの連鎖解析において疾患原因遺伝子と強く連鎖することが明らかとされた単一塩基多型(SNP)およびマイクロサテライトマーカーの中から、集団中での対立遺伝子頻度の低いと考えられた二つのSNPおよび二つのマイクロサテライトマーカーの計4マーカーのハプロタイプの集団中での分布について検討したところ、これらの4マーカーのハプロタイプは発症個体に特異性がきわめて高いことが明らかとなった。したがって、これらマーカーのハプロタイプを用いることで、キャリア個体の同定が可能であり、遺伝子診断法として利用可能であると結論づけられた。
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Research Products
(7 results)