2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20249001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴崎 正勝 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 教授 (30112767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 直哉 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教 (40431887)
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Keywords | 多核不斉触媒 / 医薬品合成 / 不斉合成 / 反応機構解析 / 希土類金属 / ニッケル / シッフ塩基 / 多点認識 |
Research Abstract |
医薬品は極めて高度かつ多領域にわたる科学を集約した人類の叡智の結晶であり、全人類の福祉に直結するものである。ゲノム創薬、in silico解析等、論理的医薬リード探索が急速に発展する中で、実際の化合物を最小限の環境負荷でグローバルに供給するには既存の有機合成化学技術に抜本的躍進が必要であり、医薬品開発における最重要課題の一つである。本研究計画ではこれまでの研究で得られた多核不斉触媒の特徴を最大限に活用して新たな多核不斉触媒の創製に加え、触媒の反応促進機構及び立体選択性発現機構を種々の分光学的手法を用いた包括的なメカニズム解析により解明し、新たな触媒概念の礎となる新知見を積極的に見いだす。さらに、多点認識多機能不斉触媒の概念を基盤に、多機能集積型不斉触媒、動的立体制御を可能とするアロステリック制御型不斉触媒を創製する。 我々は最近、2核性のシッフ塩基配位子を用いることで全く性質の異なるCu(II)と希土類金属Sm(III)を精密に配置した複核触媒の開発に成功した。このCu-Sm-シッフ塩基触媒では2つの異なる性質を持つ金属を組み合わせることで初めて高い選択性と反応性が発現し、従来法では不可能であったsyn-選択的な触媒的不斉ニトロマンニッヒ型反応に初めて成功した。本成果を基に、2核Ni-シッフ塩基触媒を開発し、β-ケトホスホネートの触媒的不斉マンニッヒ型反応の開発に成功した。本反応は単核Ni錯体では進行せず、2核触媒のユニークな反応性が鍵となっている。
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Research Products
(1 results)