2010 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質セラピー法による脳腫瘍治療技術の開発と機能実証
Project/Area Number |
20249009
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松井 秀樹 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30157234)
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Keywords | 脳腫瘍 / 悪性グリオーマ / タンパク質セラピー法 / タンパク質導入 / 中性子捕捉療法 |
Research Abstract |
概要:中性子捕捉療法において、脳腫瘍を標的化する2種類のボロン製剤の開発に成功した。 我々が特許を有する'蛋白質セラピー法'を利用し腫瘍細胞内へ導入されるタイプと、ドラックデリバリー技術を利用しボロン化合物を封入したナノカプセルを腫瘍細胞へ選択的に導入するタイプである。本年度は、これらの新規製剤の腫瘍細胞導入効果を培養細胞ならびに脳腫瘍モデル動物で実証し、両製剤で腫瘍特異的な導入を確認した。今後、新たな中性子捕捉療法向け製剤として期待される。 研究方法:DOPC、DOPG、cholesterolの3種類の脂質を主成分とする平均粒径100nmのリポソームをナノカプセルとして合成し、ボロン化合物BSHを内包した。リポソーム表面にZZ-His蛋白質を介してヒトバリアントIII型EGF受容体抗体を反応させ、抗体が付加したイムノリポソームを得た。脳腫瘍患者より樹立したEGFRvIII発現細胞U87△EGFR(ヒト悪性神経膠細胞)に対し同製剤を投与し、細胞内への導入動態を経時的に検証した。さらに、U87△EGFRをヌードマウス脳内に移植して脳腫瘍モデルを作製した。2週間後、新規ボロン製剤を尾静脈より投与し、種々の時間経過後、各臓器を摘出し、製剤の組織内への導入を検証した。 研究結果:EGFRvIII発現細胞U87△EGFRを用いたin-vitro実験、および同細胞をマウスの脳に移植したマウス脳腫瘍モデルを用いたin-vivo実験で、新規製剤が腫瘍特異的に集積することを確認した。脳腫瘍モデルでは、脳正常部では殆ど細胞内に取り込まれていないのに対し、腫瘍部では効率的に腫瘍組織に取り込まれており(T/N>10)、投与後24時間では中性子捕捉療法で必要とされる閾値約30ppmを達成した。よって、本研究で新しく開発したボロン製剤は、脳腫瘍に標的化する可能性が高く、中性子捕捉療法の製剤として有効であると期待できる。
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Research Products
(13 results)