2009 Fiscal Year Annual Research Report
薬物によるカリウムチャネル機能制御の構造活性相関の解明
Project/Area Number |
20249012
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
倉智 嘉久 Osaka University, 医学系研究科, 教授 (30142011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲野辺 厚 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (00270851)
日比野 浩 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (70314317)
村上 慎吾 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40437314)
古谷 和春 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40452437)
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Keywords | カリウムイオンチャネル / 薬物-チャネル相互作用 / 抗鬱薬 / 抗不整脈薬 / 構造活性相関 / 電気生理学的解析 |
Research Abstract |
本研究の目的は、薬物によるカリウムチャネル機能制御機構を明らかにすることである。当該年度は実施計画に基づき以下の研究を行った。薬物によるチャネル機能の阻害に関して、1) 平成20年度の研究成果である内向き整流性Kir4.1チャネル阻害薬のファーマコフォアモデルを用いて、構造的特徴の類似性に基づいたリガンド相互作用予測が可能か実証的研究を行った。結果としてこの方法により、多数の新規Kirチャネル阻害薬物が得られた。チャネル機能阻害に関連する薬物構造の理解と、計算機を用いた論理的薬剤設計の実現に繋がる研究成果である。2) Kir6.2チャネルに直接作用する薬物の親和性が、チャネル複合体を共に構成する補助サブユニットの種類によって影響を受けるという、薬物作用の意外な現象を観察した。現在その機序を解析しているが、この研究から補助サブユニットのアロステリックなチャネル機能制御の理解に繋がる可能性がある。3) 薬物によるカリウムチャネルの阻害作用の類似性と多様性をチャネルポア構造の点から考察し、この成果を発表した。4) 薬理学を含むKirチャネルの機能制御機構の理解の現状を纏め、総説論文として発表した。 また、薬物によるチャネル機能の活性化作用に関して、平成20年度に引き続いてhERGチャネルの電位依存的活性化ゲート機構に対する増強作用をモデルケースとして研究を行った。当該年度は、1) β受容体阻害薬であるカルベジロール、第Ia群抗不整脈薬であるキニジン等でも増強作用が見られること、2) しかし薬物によって作用の強さ(電位依存性の過分極側へのシフトの大きさ)が異なることが分かった。また、3) 変異チャネルを用い、この薬物作用に必須のアミノ酸残基をhERGチャネルポア領域に同定した。膜電位変化に応じてチャネルが開閉する機構はまだ十分理解されていないが、薬物作用の研究からその理解が進むと期待される。
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