2010 Fiscal Year Annual Research Report
薬物によるカリウムチャネル機能制御の構造活性相関の解明
Project/Area Number |
20249012
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
倉智 嘉久 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (30142011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲野辺 厚 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (00270851)
村上 慎吾 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40437314)
古谷 和春 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40452437)
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Keywords | カリウムイオンチャネル / 薬物-チャネル相互作用 / 構造活性相関 / 電気生理学的解析 |
Research Abstract |
本研究の目的は、薬物によるカリウムチャネル機能制御機構の分子基盤を明らかにすることにある。本年度の成果を以下に示す。 抗うつ薬であるノルトリプチリンやフルオキセチン、抗精神病薬であるハロペリドールのKir6.2チャネル阻害作用を解析した。薬物に対する感受性に影響を及ぼす部位としてKir6.2のAsn160やCys166を同定した。また、補助サブユニットであるスルフォニルウレア受容体との複合体形成により、Kir6.2の薬物に対する感受性が低下することが明らかとなった。この機序として複合体形成によるゲート特性の変化が重要な役割を果たしていると推察された。 また、前年度に引き続いて、薬物のhERGチャネル電位依存的活性化ゲート機構に対する増強作用(facilitation作用)を解析した。本年度は、新たにフルオキセチン、ハロペリドールを含む中枢神経系作用薬、またクロルフェニラミンを含む抗ヒスタミン薬などもhERGチャネルに対しfacilitation作用をもつことを明らかにした。変異hERGチャネルを用いた解析から、これまでに作用を調べた異なる薬物はチャネルの共通のアミノ酸残基を介してfacilitation作用を発揮していると考えられた。さらに、facilitation作用をもつ薬物に共通する構造上の特徴を理解するために、15種類のfacilitation作用をもつ薬物と5種類の作用をもたない薬物をデータセットとしてファーマコフォアモデルの構築を試みた。しかしこの方法では、全ての薬物に共通するファーマコフォアモデルを構築することは出来なかった。原因として、facilitation作用をもつ薬物の構造の多様性が大きすぎることが考えられ、予め統計学的手法を用いて似た構造特性を持つ薬物群にクラスタ分類し、その後クラスタ毎にファーマコフォア解析する方法が有効ではないかと考察できた。
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Research Products
(20 results)