2010 Fiscal Year Annual Research Report
アセチルグルコサミン糖鎖サイクルの生体制御機構の解析
Project/Area Number |
20249018
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
谷口 直之 独立行政法人理化学研究所, システム糖鎖生物学研究グループ, グループディレクター (90002188)
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Keywords | 糖鎖 / 糖鎖サイクル / 糖鎖機能 / 糖ヌクレオチド / グルコサミン転移酵素 / 細胞膜儒超帯 / オルガネラ |
Research Abstract |
本研究は糖タンパク質のN結合型糖鎖の分岐がもつ糖鎖機能を、糖代謝、糖ヌクレオチド、糖転移酵素などの各ステップを統合的に解析することにより、その生理的意義を明らかにすることを目的とする。昨年度までは糖ヌクレオチドに着目しHPLCやLC-MSによる定量法を確立してきた。本年度はそのLC-MS法により、安定同位体13C6-グルコースで代謝標識した糖ヌクレオチドの質量同位体分布を継時的に追跡する方法を検討した。UDP-GlcNAcの同位体分布からはヘキソサミン経路、核酸合成経路、解糖系への流れを、またCMP-NeuAcの同位体はUDP-GlcNAcの分解経路が明らかになり、グルコース代謝からUDP-GlcNAcの合成と分解の流れを捉えることに成功した。 本年度はGlcNAcサイクルの協調的な制御機構の手がかりを得るため、免疫反応や固形癌において惹起される低酸素条件で蓄積するマクロファージのGlcNAcサイクルを検討した。RAW264細胞を低酸素に曝露するとUDP-GlcNAcが約50%に減少、GlcNAc転移酵素(GnT)-Vの活性も低下した。L-PHAのレクチンブロット解析からβ1-6GlcNAc糖鎖を有する糖タンパク質、特にインテグリンβ1上の糖鎖が顕著に減っており、低酸素で誘導される細胞接着能や遊走能に影響を及ぼしていることが明らかになった。GnT-IVb KOマウス由来の糖鎖解析では、N型糖鎖の分岐の程度に違いは見られず、GnT-IVbと他のGnTの間には分岐の程度を一定に保つ協調的な調節機構もあることを見出した。このほかGnT-IXのKOマウスを用いた機能解析や、エピジェネティクスによるGnT-IXの脳特異的な発現機構など、GlcNAcサイクルの多面的な解析を現在進めている。
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Research Products
(11 results)