2010 Fiscal Year Annual Research Report
PTEN制御分子解析による脂質シグナル研究の新展開
Project/Area Number |
20249019
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鈴木 聡 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (10311565)
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Keywords | PTEN / PI3K経路 / がん抑制遺伝子 |
Research Abstract |
本研究課題では、(1)PTENと結合する、PICT1の機能解析、(2)PTENと結合してPTENを活性化する新規がん抑制遺伝子候補分子PBP1の機能解析、(3)PTENの各種臓器における機能解析、の3つのアプローチによって、PTENの役割、PTENを制御する機構、PTENが制御する標的分子の機構解析をおこなうものであり、平成22年度には以下の成果を得た。 (1)PTENの機能解析 2010年には、膵β細胞特異的PTEN欠損では、ラ氏島の増大やストレプトゾトシン誘発糖尿病抵抗性を見るが、β細胞の腫瘍化はみられないこと、PTENヘテロ欠損マウスでは内耳形成に障害のあること等を報告した。 (2)PICT1の機能解析 PTENと結合する分子としてPICT1を得た。PICT1欠損ES細胞ではPTEN蛋白質の半減期が短縮することから、PICT1がPTENを安定化することを明らかにした。しかしながらPICT1にはPTEN以外にRPL11とも核小体で結合し、PICT1が欠損するとRPL11が核小体から核質に異動し、RPL11がMDM2と結合してその機能を阻害しp53を強力に制御することを見出した。 (3)PBPの機能解析 PTENと結合してPTENを活性化する新規がん抑制遺伝子候補分子PBP1を見出したが、PBP1欠損マウスには未だ発現形をみない。しかしながらPBP1と構造の近いPBP2遺伝子もPTENと結合してPTENを活性化する作用を見出したので、PBP2がPBP1の機能を代償した可能性を考え、現在PBP2とPBP1のダブル欠損マウスを作製するためにPBP2キメラマウスの作製までを終えた。
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