2011 Fiscal Year Annual Research Report
PTEN制御分子解析による脂質シグナル研究の新展開
Project/Area Number |
20249019
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鈴木 聡 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (10311565)
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Keywords | PTEN / PI3K経路 / がん抑制遺伝子 |
Research Abstract |
平成23年度には以下の成果を得た。 (1)PTENの機能解析: PTEN欠損による子宮体がんの発症はエストロゲン投与によって抑えられたことから、閉経以降ではエストロゲンの枯渇によって癌の発症が進展する可能性があることを示した。さらにSox9による軟骨細胞の過形成はPI3K(P110a)の転写を制御することによっておもることも示した。 (2)PTENと結合するPICT1の機能解析: PTENと結合する分子としてPICT1を得た。PICT1はリボソーム蛋白質L11(RPL11)と結合して、RPL11を核小体につなぎとめていること、PICT1欠損によってRPL11が核小体から移動し、核質に豊富に存在するMDM2と結合して、そのユビキチンリガーゼ活性を顕著に抑制し、これによってp53が顕著に活性化すること、PICT1はES細胞の維持や個体発生に必填であり、PICT1による細胞周期停止や細胞死亢進はp53依存性であること、またPICT1発現の低下した食道がん、大腸がんでは予後が圧倒的に良いことを解明した。 このように、核小体ストレスによるp53上昇機構の一端を解明するとともに、がんの予後に関わる遺伝子PICT1を見出し、Nature Medicineに報告した。 (3)PTENと結合するPBP1の機能解析: PTENと結合する新規遺伝子PBP1を見出したPBP1はPTENのもつ脂質ホスファターゼ活性を亢進するとともに、PI3Kのp110aの転写を抑制し、強力にAktを抑制する。しかしながらPBP1欠損マウスには未だ発現形をみない。次にPBP1と構造の近いPBP2遺伝子もPTENと結合してPTENを活性化する作用を見出したので、PBP2がPBP1の機能を代償した可能性を考え、現在PBP2とPBP1のダブル欠損マウスを作製するためにPBP2キメラマウスの作製までを終えた。
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