Research Abstract |
EBウイルス関連胃癌におけるエピジェネティック異常:EBウイルス関連胃癌では,癌抑制遺伝子プロモーター領域CpG繰り返し配列のシトシンにメチル化を高頻度に起こしている.この機序を解明するため,組みかえEBウイルス感染系を用い,2卿メチル化とそれによる発現喪失が,EBウイルスを感染させた胃癌細胞株MKN1,MKN7において再現されることを見出した.さらに,潜在期ウイルス蛋白LMP2AがSTAT3発現充進,リン酸化充進を介して,DNMT1を構成的に活性化させメチル化を引起していることを証明した.培養液中のIL6濃度はむしろ低下し,IL11濃度も検出以下で,抗IL6抗体によってもSTAT3活性化に変化がない.IL6非依存性にLMP2AがSTAT3活性化を引起していると考えられた。 LMP2A遺伝子導入線維芽細胞の腫瘍形成能:レトロウィルスベクターを用いてLMP2AをNIH3T3細胞に遺伝子導入した.ヌードマウス皮下移植実験で,ベクターのみを導入した対照群では11匹中1匹に腫瘍が形成されたのに対し,LMP2A-NIH3T3細胞の移植では11匹中8匹に腫瘍が形成された.この系を用いることによって,腫瘍形成初期にLMP2Aと相互作用し,癌化に働く分子を探索する。 EBウイルス潜在期蛋白トランズジェニックマウスによるメチル化促進機構の解析:EBウイルス潜在期蛋白を胃特異的に発現させるため,胃壁細胞特異的H+K+-ATPaseプロモーターを用い,その下流にLMP2A,EBNA1遺伝子を結合させた組み換えベクターを構築した.このベクターを用いて作成したLMP2Aトランスジェニックマウスを長期に観察していたところ,十二指腸に異型上皮病変の発生が確認された。 (連携研究者:宇於崎宏講師,坂谷貴司助教,牛久哲男助教,森川鉄平助教,日野るみ助教,菊地良直助教,仲矢丈雄特任助教)
|