2010 Fiscal Year Annual Research Report
EBウイルス関連胃癌.DNAメチル化亢進の分子機序解明と胃癌治療への展開
Project/Area Number |
20249022
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
深山 正久 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70281293)
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Keywords | EBウイルス関連胃癌 / EBウイルス / 胃癌 / 転写因子 / RRM2 / マイクロRNA / miR200 / 上皮間葉転換 |
Research Abstract |
EBウイルス関連胃癌の細胞学的特徴:消化管に比較的特異的な転写因子の発現を胃癌において検討した.EBウイルス関連胃癌は,SOX2(+)CDX2(-)HNF4aP1(-)のG型(77%),あるいはSOX2(-)CDX2(-)HNF4aP1(-)のN型(23%)のいずれかに分類され,転写因子発現においても特異な一群であることが示された DNA合成に必要なribonucleotid reductaseはM1, M2のサブユニットからなり,M2(RRM2)の量によって酵素活性が制御されている.RRM2の発現を免疫組織学的に胃癌において検討すると,EBウイルス関連胃癌ではRRM2発現が88%にみられ,通常胃癌59%に比し有意に高率であった.EBウイルス関連胃癌細胞株SNU-719におけるsiRNAを用いた実験結果をあわせ,EBウイルス関連胃癌においてRRM2の発現亢進が細胞増殖に寄与していることを明らかにした EBウイルス関連胃癌におけるマイクロRNA異常:EBウイルス関連胃癌では、microRNA 200 familyに含まれるmiR-200aとmiR-200bの発現が一般の胃癌に比べて有意に低下しており,これによってE-cadherinの転写抑制因子であるZEB1/ZEB2の発現が亢進し,結果的にE-cadherinの発現が抑制されていることを明らかにした.EBウイルス関連胃癌における発癌の初期課程において,細胞内マイクロRNA制御の撹乱により上皮間葉転換を引き起こしている可能性が示された EBウイルス関連胃癌におけるエピジェネティック異常:EBウイルス関連胃癌では,癌抑制遺伝子プロモーター領域CpG繰り返し配列のシトシンにメチル化を高頻度に起こし,その下流の遺伝子発現が抑制されている.この現象の解明のため,EBウイルス潜在期蛋白LMP2Aトランスジェニックマウスを作製,MNUを用いた発癌実験を進めている (連携研究者:宇於崎宏准教授,坂谷貴助教,牛久哲男助教,森川鉄平助教,日野るみ助教,仲矢丈雄特任助教)
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Research Products
(16 results)