2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20249026
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高井 俊行 Tohoku University, 加齢医学研究所, 教授 (20187917)
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Keywords | 免疫制御 / アレルギー / 自己免疫 / 移植免疫 / がん |
Research Abstract |
PIR-B(ピアB)は,ほとんどの細胞上に普遍的に発現する自己のマーカー分子であるMHCクラスI分子と結合して免疫系細胞に抑制スイッチを入れる受容体である。これは生命システムに広く存在すると考えられる恒常的かつ自動的に細胞制御を行う受容体システムの絶好のモデルになる。本研究はMHCクラスI分子の認識から細胞内の脱リン酸化酵素の動員に至るPIR-Bの動的プロセスの全容を解明する。またこの自動的抑制システムが消失・変調した場合に惹起される免疫疾患についてその機序を解明する.成果はアレルギー・炎症性疾患,自己免疫疾患,感染症,移植関連免疫病,がん免疫をコントロールする方法の開発につながることが期待される。 本年度は特にPIR-BおよびPIR-AのMHCクラスI分子との結合に関する物理化学的性質をビアコアシステムを利用して解明するとともに,新しいリガンドであるNogo,MAGなどとの結合についても比較調査した。その結果,PIR-AにもMHCクラスIが結合するもののその親和性はPIR-Bのそれよりも低いこと,またMAGとPIR-B,PIR-Aの結合はNogoに比べて弱いこと,Nogoの結合はMHCクラスIとの結合に遜色ないことなどが明らかとなった。興味深いことにNogoとMHCクラスIはいずれもPIR-Bを介して免疫系細胞の抑制を起動することが分かり,新しい免疫系制御のしくみを包含していることが強く示唆された(投稿準備中)。
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