2008 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドローム患者の薬物動態変動機構の解明と薬物治療への応用
Project/Area Number |
20249036
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
乾 賢一 Kyoto University, 医学研究科, 教授 (70034030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桂 敏也 京都大学, 医学研究科, 准教授 (10283615)
増田 智先 京都大学, 医学研究科, 講師 (90303825)
寺田 智祐 京都大学, 医学研究科, 薬剤部副薬剤部長 (10324641)
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Keywords | 薬物トランスポータ / メタボリックシンドローム / 小腸 / 腎臓 / 肝臓 / メトホルミン / 転写因子 / 核内受容体 |
Research Abstract |
1、病態モデル動物を用いた薬物トランスポータの発現解析 胆汁うっ滯のモデル動物であるEHBRを用いて、小腸並びに腎薬物トランスポータの発現変動を調べた。その結果、腎有機アニオントランスポータOAT3の発現が上昇することを見出した。さらに、OAT3は生理的基質として胆汁酸を輸送することを証明し、胆汁うっ滯におけるOAT3の病態生理学的な役割を明らかにした。さらに、甲状腺ホルモンによるMDR1の発現変動や、小腸PEPT1の発現には日周リズムが認められることを明らかにした。 2、シグナルパスウェイの同定 甲状腺ホルモンによるMDR1の発現変動は、甲状腺ホルモン応答配列にTRα1が結合することによって制御されていること、またPEPT1の日周リズムには、時計遺伝子の一種である転写因子DBPがE-box配列に結合することによって調節されていることを明らかにした。また、肝臓に発現する有機カチオントランスポータOCT1の発現には、転写因子USFが関与していることや、OCT2の腎特異的な発現にはepigeneticな制御が寄与していることを実証した。さらに、有機イオントランスポータファミリーの発現に影響を及ぼす、プロモーター領域の遺伝子多型の同定にも成功した。 3、H^+/有機カチオンアンチポータ(MATE1)の機能解析 2006年に新たにクローニングしたMATE1の機能特性を精査するため、OCT2とのダブルトランスフェクタントを作成し、in vivoに近い評価系の構築に成功した。MATE1やOCT2は、抗メタボリックシンドローム治療薬として注目されている糖尿病治療薬メトホルミンの輸送に関与していることも本評価系を用いて実証した。 これら解析対象とした薬物トランスポータの多くは、抗メタボリックシンドローム治療薬の輸送を媒介していることから、今後の研究展開の基盤が整備されたと考えられる。
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