2009 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドローム患者の薬物動態変動機構の解明と薬物治療への応用
Project/Area Number |
20249036
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
乾 賢一 Kyoto University, 医学研究科, 教授 (70034030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 智先 京都大学, 医学研究科, 講師 (90303825)
寺田 智祐 京都大学, 医学研究科, 薬剤部副薬剤部長 (10324641)
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Keywords | 薬物トランスポータ / メタボリックシンドローム / 小腸 / 腎臓 / 肝臓 / メトホルミン / 転写因子 / 核内受容体 |
Research Abstract |
1、抗メタボリックシンドローム治療薬メトホルミンの体内動態特性に関する解析 メトホルミンの尿細管分泌を媒介しているH^+/有機カチオンアンチポータ(MATE1及びMATE2-K)の遺伝子多型解析を行った。MATE1ではアミノ酸変異を伴う遺伝子多型が5つ、またMATE2-Kでは2つ同定した。さらに、これら遺伝子多型の輸送活性に及ぼす影響について検討したところ、いずれも輸送活性の減少や消失が認められ、特にMATE1 G64DやMATE2-K G211Vでは完全に輸送活性が消失した。MATE1/OCT2ダブルトランスフェクタントを用いて、メトホルミンとシメチジンの薬物間相互作用は、MATE1を介して惹起されることを明らかにした。さらに、Mate1の発現が消失あるいは低下した時を想定して、Mate1遺伝子欠損動物を新たに作成し、メトホルミンの体内動態解析を行った。その結果、Mate1遺伝子欠損動物のメトホルミン血中濃度及び腎組織中濃度は野生型マウスと比較して顕著に上昇するとともに、分泌クリアランスは1/10に低下した。従って、Mate1がメトホルミンの腎排泄過程に重要な役割を果していることを、in vivo系で初めて実証した。 2、ヒト組織を用いた薬物トランスポータの発現解析 117名の肝疾患患者を対象にして、17種類の薬物トランスポータのmRNA発現量を定量し、肝有機アニオントランスポータOATP2B1の発現量を増加させるプロモーター領域の一塩基多型(-282A>G)の同定に成功した。さらに十回忌文責を用いて、肝薬物トランスポータの発現に影響を及ぼす因子の探索を試みたところ、HCV感染及び肝硬変がABCトランスポータの一種であるMRP4のmRNA・タンパク質発現を有意に上昇させることが判明した。
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