2008 Fiscal Year Annual Research Report
性差からみた新たな老年医学大系の構築-健康寿命の延長をめざして-
Project/Area Number |
20249041
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大内 尉義 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 教授 (80168864)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋下 雅弘 東京大学, 医学部・附属病院, 准教授 (00261975)
江頭 正人 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (80282630)
飯島 勝矢 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (00334384)
小川 純人 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (20323579)
大田 秀隆 東京大学, 医学部・附属病院, 医員 (20431869)
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Keywords | 性差 / 健康寿命延長 / 老年症候群 / 性ホルモン / 長寿遺伝子 / 女性外来 |
Research Abstract |
今年度は、(1)老年疾愚および老年症候群の発症、病態における性差とその機序の解明(2)健康寿葡の性差の要因を解明とその知見に基づく健康寿命延長の方法の策定(3)老化の進行過程における性差の機序とその制御法の解明、について基礎・臨床研究を行った。老年疾患および健康寿命の性差に関して、虚弱高齢者のコホート約200名で得られたデータを解析し、血中性ホルモン濃度と虚弱化との関連は男女1で異なることを横断研究で明らかにした(論文投稿中)。来年度以降、追跡調査を行う予定である。一方、中年男性会社員約100名の横断および追跡調査では、5年間に性ホルモン濃度の明らかな変化はみられず、生活習慣病指標との関連もほとんど認めなかった。また、女性外来を中心に性差医療の実態と意識を全国規模で調査するためにアンケートを作成した。来年度、アンケート調査を実施する。老化の性差に関する基礎研究では、女性ホルモン、男性ホルモンともに血管内皮細胞の老化形質および血管平滑筋細胞の石灰化を抑制することを確認した。前者について、酸化ストレスおよび薬剤溶出ステントに使われる薬剤に誘導される老化形質をシロスタゾールが抑制すること(Arterioscler Thromb Vasc Biol, J AmColl Cardio1)、アンドロゲン受容体を介した細胞膜レベルでのeNOS活性化機構が存在することを報告(第31回日本高血圧学会総会)した。後者については、特にテストステロンがアンドロゲン受容体を介して増殖因子Gas6の転写を制御し、生存シグナルの活性化から石灰化抑制につながることもわかった(論文投稿中)。現在、全身の老化度を反映する指標として末梢血単核球のテロメア長や長寿遺伝子Sirt1の発現をアッセイするシステムを開発中であり、来年度以降、認知症や骨粗霧症といった老化疾患との関係、および性ホルモン濃度との関係を検討する予定である。
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Research Products
(5 results)