2008 Fiscal Year Annual Research Report
血管再生障害からみた糖尿病性心筋症の基礎解析と新規治療法の開発
Project/Area Number |
20249045
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
室原 豊明 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 教授 (90299503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂東 泰子 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (60452190)
前田 健吾 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (80456673)
新谷 理 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (20309777)
柴田 玲 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 特任助教 (70343689)
沼口 靖 名古屋大学, 医学部, 寄附講座准教授 (90378224)
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Keywords | 再生医学 / 血管新生 / 糖尿病 / 心不全 / 細胞内シグナル / 糖尿病性毛細血管傷害 / 心筋症 / 高インスリン血症 |
Research Abstract |
本研究は、血管再生機能と糖尿病性心筋症の関連性について考察・検討することを目的とし、そして、血管新生能の低下のために十分な酸素と栄養が心筋細胞に伝達されずその結果心筋リモデ心機能不全が生じると仮説し、本年度は以下の項目について検討した。 糖尿病モデル動物における毛細血管密度・血管再生能・Akt活性の解析 糖尿病状態において、毛細血管密度が低下しているか否かを2型糖尿病マウス(KKAyマウス:遺伝的高インスリン高血糖マウス)心筋標本の組織染色により比較検討した。2型糖尿病マウスは心肥大を呈するとともに、有意な心筋毛細血管密度の低下および心筋線維化の軽度亢進を認め、これより毛細血管障害に伴って心筋リモデリングが生じていることが観察された。これら心筋標本におけるAkt活性をウエスタンブロットにて評価したところ、本糖尿病モデル心筋においてはAkt活性の低下を認めた。これら心筋リモデリングに対する高血糖及び高インスリン血症の影響をより明確にするために、糖尿病性心筋症の特徴の一つである拡張障害型心肥大を呈するSHRラットを用いて高インスリン血症の影響のない状態で高血糖状態の心臓への影響をコントロールと比較解析した。高血糖合併SHRラットでは有意な毛細血管数の減少及び心筋線維化亢進が認められた。興味深いことに、高血糖を伴わない群では心筋線維化亢進の程度は軽度であると共に毛細血管数の減少は認めなかった。これらの結果から、糖尿病性心筋症発症のメカニズムは、高インスリン血症の心筋肥大効果及び高血糖状態による心筋毛細血管新生抑制および心筋線維化が相乗的に作用し心筋リモデリングを生じることが示唆された。今後、これらモデルにおける血管再生能との関連及びAkt関連蛋白Girdinとの関係について解析を進めていく予定である。
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